福岡県医療用ウィッグ(かつら)を作る再現美容師chikaブログ

美容師のわたし…シングルマザーのわたし…乳ガンだったわたし…更年期障害と闘ったわたし…素直な想いを綴り伝えたい

☆熊本日日新聞に掲載☆

2013-05-08 17:05:30 | 日記
闘病体験の美容師・宮之前さん(熊本市)

医療用かつらを使い、抗がん剤治療の副作用で脱毛した患者をサポートする「再現美容師」と呼ばれる人たちがいる。熊本市中央区黒髪で美容室を営む宮之前亜紀さん(43)もその一人。自らも5年前に乳がんを経験、不安に直面する女性たちを精神的にも支えている。
再現美容師は医療用かつらの製作・普及を進めるNPO法人日本ヘアエピテーゼ協会(東京)が認定。宮之前さんはことし1月、県内ではじめて認定を受けた。現在23都府県に約100人おり、九州は宮之前さんを含めて3人が活動している。
取り扱っているのは、同協会が医療用に特化して開発したかつらで、色や長さ、素材(人毛または人工毛との混合)によって数種類ある。患者が自分の髪のイメージに近いものを選択。これをカットするなどして脱毛前のヘアスタイルに近づけていく。
価格は一律12万6千円で、同協会に入った収入の一部は、がん患者支援のために使われている。製作後1年間は無料でかつらのカットや手入れに応じ、地髪が生え揃うまでサポートする。
宮之前さんは30代から70代まで、月に10人ほどの相談を受ける。「かつらを付けたお客さまが『これで大丈夫ね』と笑顔になる。それがうれしくて」と宮之前さん。実際にかつらを使用している南区の女性(53)は「周りにまったく気付かれず、外出への不安が無くなった。同じがんを体験した女性同士で安心して話せるし、具体的なアドバイスがありがたい」と言う。
宮之前さんは38歳のときに初期のがんが見つかり、摘出施術を受けた。「徹底的に情報を収集して治療に臨み、不安はあまりなかった」と振り返る。抗がん剤治療もしなかったが、同じがんで髪を失ったりした女性たちと知り合い、相談に乗るようになった。
「治療や副作用への不安に加え、女性にとって髪が無くなるストレスは相当なもの。どうしたらいいかわからず困っている人がたくさんいた。美容師として、がんを体験した一人として、不安を安心に帰られるお手伝いをしたいと強く思った」
若い人も違和感なく付けられるかつらを探すうちに同協会を知り、昨年秋から東京で講習に参加。装着技術に加え、がん治療のプロセスや副作用、メンタルケアを学び、認定試験に合格した。
「髪が生え揃うまでの1~2年、仕事や楽しみをあきらめて大切な時間を空白期間にしてほしくない」。がん体験者が店でおしゃべりを楽しみ、情報交換する「茶話会」も計画中だ。
宮之前さんの連絡先は美容室「HAIR CREATOR(ヘアクリエイター)阿樹」・090(345)9894