□本日落語一席。
◆笑福亭生喬「雑穀八」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年7月6日収録(第437回「NHK上方落語の会」)。
「ざこ八」である。この落語を今回のように「雑穀八」と漢字表記するのは初めて見た。番組のオープニングトークで生喬が語るには、仮名漢字表記の「ざこ八」とすると、大阪弁で魚市場のことを言った「ざこば」と勘違いされるおそれがあるので、「雑穀八」と演題を出したとのこと。「雑穀八」は、すなわち、この落語に登場する雑穀屋の八兵衛の略称である。ただし、八兵衛は主たる登場人物でない。
どちらかというと、めずらしい噺の部類に入る。2011年以後、自分が聞いたのは春雨や雷蔵のみ。高座は同じ『日本の話芸』から(東京渋谷NHK放送センター内スタジオ、2021年9月24日収録)。
もとは完全に上方種だが、2010年以前の記録を見ると、先代の九代目入船亭扇橋や三代目桂三木助など、東京の落語家でわりと聞いている。もちろん上方の落語家としてもある。今回聞いた生喬の師匠である先代の六代目笑福亭松喬、また、先代の三代目林家染丸。
生喬は入門して十四年めのとき、師匠の六代目松喬が稽古をつけてもらったと語っていた。
ただし、今回生喬が演じたものは、師匠の松喬や大師匠の六代目笑福亭松鶴が演っていたものと異なる落げ。生喬は今回あえてこれで演ってみたとのこと。
たぶん自分がこれまでに聞いてきたのも、みな松喬や松鶴が演ったという「今の仏が気にさわる」という型だったはず。だから、今日生喬が演った「聞いただけで腹がふくれる」というのは初めて聞いた。なかなか微妙なものだが、通常よく演られている「今の仏が気にさわる」のほうが、いかにも落語の落げという気はする。また、川戸貞吉『落語大百科』や『増補 落語事典』によると、もう一つの落げがあるようだが、それを含めても、やはり「今の仏が気にさわる」の落げがよいかもしれない。
◆笑福亭生喬「雑穀八」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年7月6日収録(第437回「NHK上方落語の会」)。
「ざこ八」である。この落語を今回のように「雑穀八」と漢字表記するのは初めて見た。番組のオープニングトークで生喬が語るには、仮名漢字表記の「ざこ八」とすると、大阪弁で魚市場のことを言った「ざこば」と勘違いされるおそれがあるので、「雑穀八」と演題を出したとのこと。「雑穀八」は、すなわち、この落語に登場する雑穀屋の八兵衛の略称である。ただし、八兵衛は主たる登場人物でない。
どちらかというと、めずらしい噺の部類に入る。2011年以後、自分が聞いたのは春雨や雷蔵のみ。高座は同じ『日本の話芸』から(東京渋谷NHK放送センター内スタジオ、2021年9月24日収録)。
もとは完全に上方種だが、2010年以前の記録を見ると、先代の九代目入船亭扇橋や三代目桂三木助など、東京の落語家でわりと聞いている。もちろん上方の落語家としてもある。今回聞いた生喬の師匠である先代の六代目笑福亭松喬、また、先代の三代目林家染丸。
生喬は入門して十四年めのとき、師匠の六代目松喬が稽古をつけてもらったと語っていた。
ただし、今回生喬が演じたものは、師匠の松喬や大師匠の六代目笑福亭松鶴が演っていたものと異なる落げ。生喬は今回あえてこれで演ってみたとのこと。
たぶん自分がこれまでに聞いてきたのも、みな松喬や松鶴が演ったという「今の仏が気にさわる」という型だったはず。だから、今日生喬が演った「聞いただけで腹がふくれる」というのは初めて聞いた。なかなか微妙なものだが、通常よく演られている「今の仏が気にさわる」のほうが、いかにも落語の落げという気はする。また、川戸貞吉『落語大百科』や『増補 落語事典』によると、もう一つの落げがあるようだが、それを含めても、やはり「今の仏が気にさわる」の落げがよいかもしれない。