本日の『産經新聞』コラム「産經抄」は、ワクチン接種の遅れについて述べたもの。その最後で「屋外ではマスクをしていない英国やイスラエルの人々を見るとため息が出る。ぼやき漫才の人生幸朗師匠が健在だったら、『責任者出てこい!』と喝を入れたことだろう」とあった。
「喝」は「誤りや迷いを悟らせるために、老師が出す大きな声」である。「喝」の語義からすると、一見まちがっていない例のようにも思うが、この場合の例としては「~を入れる」などとは使わない。
「~を入れる」と使う場合は、「活を入れる」である。こちらは、「元気のない者に元気をつけてやる」の意味。だから、上記の例では使わない慣用句である。
いずれにしても、字からも慣用表現からも、今日の「産經抄」の「喝を入れる」は誤りである。この「活を入れる」に「喝」を書いてしまうという誤りは、一般にわりとよく見られる。けれど、新聞の記事で見たのは初めてだ。校閲が通してしまったというのは、いかがなものかと。
□本日落語一席。
◆三遊亭扇馬「お見立て」(寄席チャンネル『粋 らくご』)。
池袋演芸場、令和3(2021)年2月20日(2021年池袋演芸場2月中席)。
「喝」は「誤りや迷いを悟らせるために、老師が出す大きな声」である。「喝」の語義からすると、一見まちがっていない例のようにも思うが、この場合の例としては「~を入れる」などとは使わない。
「~を入れる」と使う場合は、「活を入れる」である。こちらは、「元気のない者に元気をつけてやる」の意味。だから、上記の例では使わない慣用句である。
いずれにしても、字からも慣用表現からも、今日の「産經抄」の「喝を入れる」は誤りである。この「活を入れる」に「喝」を書いてしまうという誤りは、一般にわりとよく見られる。けれど、新聞の記事で見たのは初めてだ。校閲が通してしまったというのは、いかがなものかと。
□本日落語一席。
◆三遊亭扇馬「お見立て」(寄席チャンネル『粋 らくご』)。
池袋演芸場、令和3(2021)年2月20日(2021年池袋演芸場2月中席)。