東洋大柏原クンの三段ガッツ・ポーズを見て、あ~~~お正月が来た!と思ったcinetamaです。箱根駅伝往路中継が終わって即、初詣に行き、「今年はどうか平穏な年にして下さい」と神社やお寺(毎年計7カ所を巡礼)でお祈りしてきました。本年も「アジア映画巡礼」をよろしくお願い致します。
帰宅後に見たのが、夏に香港で買っていてずーっと見られなかったDVDとVCD。まず、昨年の旧正月映画『最強〔喜喜〕事』、旧正月には欠かせない黄百鳴(レイモンド・ウォン)製作による賀歳片(年賀映画)です。主演をカップルごとに紹介しますと、レイモンド・ウォンとヤン・ニー(どっちも漢字がないのでカタカナ表記で。『女と銃と砂漠の麺屋』 (2009)の麺屋の女主人を演じたお姐さんです)、甄子丹(ドニー・イェン)と劉嘉玲(カリーナ・ラウ)、古天樂(ルイス・クー)と張栢芝(セシリア・チョン)、そして杜〔サンズイ+文〕澤(チャップマン・トー)と熊黛林(リン・ション)の4組8人。やっぱり稼ぎ頭のドニー・イェンとルイス・クーははずせませんねー。
つい先日読んだ香港Yahoo!の記事によると、2011年の稼ぎ頭はやはりドニー・イェンだそうで、合計2億2千万香港ドル(約22億円)を稼ぎ、「香港娯楽圏最強吸金王」となったとのこと。お金を引き寄せちゃうんですよー。すごいですね、葉問(イップ・マン)師父の功夫は。
ドニー・イェンに続くのがルイス・クーで、昨年は映画7本、広告16社に登場して稼いだお金が1億9800万香港ドル。ほぼ2億ですから約20億円というところ。で、ルイス・クーの方は「密食當三番」と評されています。「廣州話俗語詞典」によると、これは麻雀から来る言い方だそうで、安い上がり方でどんどん上がっているうちに大勝ちする結果となる、ということの例えだそうです。1本の広告ギャラはそんなに高くなくても、16本も出演すると...というわけですね。
『最強〔喜喜〕事』はこの2人がメーキャップ学校の同級生だった、という設定で、方やルイスは売れっ子のカリスマ・メーキャップ師、ドニーさんの方はショップのメーキャップ師となって登場します。どちらもそのマジック・ハンドで女性たちを夢見心地にさせるんですが、コワモテのお二人が化粧パフやチークブラシを扱うシーンが見物っちゃあ見物です。ご丁寧にルイスの方はおネエ言葉にしてあるし(昔のレイモンド・ウォン製作賀歳片の周潤發(チョウ・ユンファ)や張國榮(レスリー・チャン)を思い出しますが、残念ながらあれほどのインパクトはなし)、ドニーさんもあく抜きされちゃった感じのキャラで、このメーキャップ師という職業はどうもこの二人に関しては選択を誤った感があります。
笑えたのは、ドニーさんの恋人役カリーナ・ラウが作家という設定で、彼女の空想に基づいていろんなパロディー・シーンが出現する場面。カリーナ・ラウが作家の張愛玲気取りでいるのに対して、ドニーさんが「張愛玲なんて時代遅れだろ?」と言ったところ、カリーナが「葉問だって時代遅れなのに、今みんな争って映画を作ってるじゃない? レイモンド・ウォンも、それから王家衛(ウォン・カーウアイ)も撮ってるのよ、梁朝偉(トニー・レオン)使って」と言ったりして笑わせてくれます。その後に、葉問と張愛玲ならぬ張加玲が出会うシーンもあったりして、そのあたりは盛り上がってしまいました。
この2人が結ばれるまでと、大金持ちのチャップマン・トーにプロポーズされた助手セシリア・チョンをルイスが奪還するまでが話の中心で、それにレイモンド・ウォンとその愛人ヤン・ニーが正式結婚する話と、チャップマン・トーと元々の恋人リン・ションが元の鞘におさまるまでが描かれます。まあ、毎年賀歳片はこんな感じなのですが、何か目新しいハチャメチャがないと、いまいち面白くありません。
そんなユル~いストーリーの中で、唯一ハチャメチャ感があったのが、女装したチャップマン・トーがある歌のパロディーを歌う場面。漢字がとてもじゃないけど出せないので、とりあえずこの画像を見て下さい。元歌もちょっと聞けますし、元歌を歌っているコン琳娜小姐も顔を出しています。
画像で思い出した、『最強〔喜喜〕事』の予告編はこちらです。空想シーンに登場するドニーさんの機長姿も見えますが、どうせなら気前よくもっといろいろ変身させてほしかったです。監督は、『恋するブラジャー大作戦』 (2001)の陳慶嘉(チャン・ヒンカイ)と、秦小珍(ジャネット・チョン)。やっぱり賀歳片は高志森(クリフトン・コー)でなくっちゃ、と思ってしまったのは私だけ?
これを読んでがっかりしたドニーさんファンには朗報を一つ。昨年の「吸金」作品の一つ、『關雲長』が、『三国志英傑伝 関羽』というタイトルになって日本公開されます。予告編はこちら。
公開は1月14日(土)からで、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、キネカ大森、そしてシネ・リーブル梅田にて。詳しくは公式サイトをどうぞ。
こちらの監督は、麥兆輝(アラン・マック)と荘文強(フェリックス・チョン)。関羽が曹操に捕らえられた時のエピソードと、関羽が曹操の元から去る時の「過五関、斬六将」というエピソードを映画化してあり、ドニーさんの関羽に姜文(チアン・ウェン)の曹操という大物同士の対決がなかなかの迫力と魅力を生み出しています。脇も、邵兵(シャオ・ピン)、安志杰(アンディ・オン)、錢小豪(チン・シウホウ)、方中信(アレックス・フォン)、王柏傑(ワン・ポーチェ)らが固め、男くささがむんむん。無理して突っ込んである恋愛エピソードがなければもっと点は高くなったんですが、「三国志演義」の香港風解釈もほの見えて、ちょっと面白い映画に仕上がっています。
関羽はご承知のように、関帝廟に祀られてたくさんの人の信仰を集める神様ともなっています。Web上の初詣、ということで、むかーし昔に撮った神戸の関帝廟の写真を付けておきます。この時はちょうど本殿(本堂?)が修復中で、中は撮れなかったのでした(そんなら、あんまり霊験ないやんか~)。
実はこの写真、1978年に撮ったものです(どんだけ昔やねん!ですね)。その後、1995年に阪神・淡路大震災が起きたので、今の関帝廟はきっとこれとは違ったものになっていることと思います。阪神地区は、時間はかかったもののあの大震災から見事に復活しました。東北もきっと、また新しい町や村が復活するものと信じています。新しい年2012年、今年はたくさんいいことがありますように。