2011年が終わり、そろそろ昨年の映画界総決算が、どこの国でもメディアに出始めています。インドのボリウッド映画界では、12月に入ってから公開された作品等まだ上映が終了してない作品が多いため数字としては暫定的なのですが、いろんなデータをつきあわせてみると興収ベスト10は次のようになりそうです。なお、興収の数字は、Wikiにあったそれぞれの映画のサイトから取りました。
1.『ラ・ワン』Ra. One 24億0000万ルピー(12/16現在)
2.『ボディガード』Bodyguard 22億9000万ルピー
3.『準備OK』Ready 17億9000万ルピー
4.『人生は一度だけ』Zindagi Na Milegi Dobara 15億2000万ルピー
5.『シンガム』Singham 13億9000万ルピー
6.『ドン 2』Don 2: The King is Back 11億9180万ルピー(12/27現在)
7.『ダーティーな映画』The Dirty Picture 11億4000万ルピー(12/14現在)
8.『ロックスター』Rockstar 10億5000万ルピー(12/17現在)
9.『兄貴の花嫁』Mere Brother Ki Dulhan 9億4000万ルピー
10.『殺人 2』Murder 2 9億2000万ルピー
10.『デリー腹(腹下し)』Delhi Belly 9億2000万ルピー
どれもヒットしたのは納得のセールスポイントのあるものばかりですが、『殺人 2』のように際どいセックス&暴力シーンが興味を引いて、という作品もあります。とはいえ、この映画もプロットがよく考えられており、殺人者を演じたプラシャーント・ナーラーヤナンの不気味な演技や、ヒジュラーの政治力をからませた筋立てなど、猟奇的でありながらも押さえるところは押さえていて見応えがあったのも確か。そうそう、今から『殺人 2』ご覧になる方は、お食事前後には決してご覧になりませんように。あと、ふくらんだ黒いゴミ袋がトラウマになりますので要注意。
『デリー腹』(旅行者がよくかかる下痢をこう呼ぶのだそうです)もスターはイムラーン・カーン1人だけで、いかにもの低予算ニッチ映画ですが、中国映画『クレイジー・ストーン~翡翠狂想曲~』 (2006)に通じるテイストを持っていて退屈せずに見られます。ソング&ダンス・シーンは、エンド・クレジットにかぶるアーミル・カーン特別出演のものを除いては1カ所あるだけで、それもショボいのですが、お話の転がり方が面白く、シネコンの観客に支持されたのでしょう。
上記のように2011年の特徴は、比較的低予算の映画が大きな興収をあげた、という点ではないかと思います。『シンガム』、『ダーティーな映画』、『兄貴の花嫁』、『殺人 2』、『デリー腹』の5本は、製作費がいずれも3億ルピー(4億5千万円)以下。それ以外の作品も、製作費が10億ルピー(15億円)以上のものは『ラ・ワン』だけで、あとはずっと低くなり、日本円で10億円に届かないものが多いのです。それらの作品がこれだけの興収をあげたとなると、お金を掛けるばかりが能じゃない、という結論になりそうですね。
「ヒンドゥスタン・タイムズ」のウェブサイト2011年11月28日の記事によると、2011年のボリウッドは過去3年に比べて好調だったとのこと。収入の内訳は以下の通りで、上位20位ぐらいの作品が興収のほとんどを稼ぎ出したと述べられています。
公開作品本数・・・・120本強
国内興行収入 174億ルピー(約261億円)
海外興行収入 35億ルピー(約52億5千万円)
放送権料+音楽権料 50億ルピー(約75億円)
計 259億ルピー(約388億5千万円)
各作品の興収が確定するまでにはまだ時間がかかりそうですが、とりあえず中間報告ということで、2011年ボリウッド映画界回顧でした。