小学校の理科で習ったかもしれない。話は実に単純で、地球が太陽光で温められているところに問題のすべてがある。地球は太陽から熱を受け取っているときもいないときも、常に自身の熱を外部に放射している。正午を過ぎると日差しは弱まるが、しばらくの間はまだ日射量が放射の量を上回っている状態が続いていて、それで収支が逆転するまで気温は上がり続けるのだった。
空気は日射で直接暖められているのではなく、地球が放出する熱を受け取って温まっている。だからある高度までは上空にいくほど気温が下がる。そして一番気温が高いのが地表面付近で、道理で犬もぐったりだ。
日射のない夜間は、一方的に外への放射が起こる。だから「夜明け前が一番寒い」のは確かだが、「夜明け前が一番暗い」のは間違っている。
夜でも、雲があるときとないときとでは少し様子が違う。雲があると、地球からの放射をいったん雲が受け取り、雲はその熱を上方向だけでなく下方向にも放射するので、雲がないときよりも温度が下がりにくくなる。
昼間に雲が出ているときは、もちろん逆。上からの日射を雲がやはり上下方向に放射するので、下に届く量が減って地球が温められにくくなる。
でも温室が暖かいのは、温室が、太陽放射に対して透明で、地球放射を吸収する材質で作られているからというわけではない(いったん吸収した熱をガラスが内外に放出して中の空気を暖めている、という考えは正しくない)。熱の交換は、放射よりも対流の効果のほうが圧倒的に大きく、温室の場合は単に空気が外部から遮断されているためだ。
なので、夜間でも、風のあるときは、風上側の気温に影響されて温度が上がることは当然ある。
でもまあ、単純な話。
外のお仕事は特にお気をつけください。といっても走り慣れている人は水を飲むタイミングもよく知ってらっしゃる。