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運動不足は健康の大敵

奇才 葛飾北斎

2006年08月01日 | 本と雑誌

 葛飾北斎の画集(のようなもの)を買った。北斎といえばあれだが、富嶽三十六景と銘打ちながら富士山を端役に据え、主役の浪を際立たせる脇役は、小舟にへばりつく男たち。いや、今まで漫然と眺めるだけで小舟に気がつかなかったけど、よく見てみると楽しいねえ。海やら船やらの遠景を描いているかと思いきや、画面手前脇に仏閣の屋根があって、これもよく見ると屋根を修理している職人らしき人が密かに描かれていたりする、そんな、無駄(?)に細かい絵が北斎にはたくさんあって、楽しい。

 遠近法を解説する教本や、図鑑でも作ろうかというくらい精緻な動植物の数々、一人の男がさまざまなポーズを取る人物見本帳、織物の背景用図柄集、切り貼りして組み立てたら湯屋が出来上がる立体ペーパークラフト、百人一首の挿絵など、むやみやたらにさまざまなジャンルの作品を無数に残していて、そのような確かな技術のもとに描く想像上の怪物やら幽霊やらがまた異常なリアリティを放つ。

 依頼により120畳の巨大達磨を描いた話があって、達磨絵そのものは後に焼失したというけど、それを市中にお披露目したときの様子を描いたような絵がある。絵を囲んで歓声を上げている(ように見える)大勢の楽しそうな見物客の絵が。自分の絵を絵の中に入れるようなの。そういえば扇子の柄に、恵比寿様が半紙を広げて「寿」の書道作品を書いている絵もあった。まあなんという縁起物で。墨で汚れないように着物の裾をまくっている様子はいかにも普通のおっさんだけど、その愛嬌がまた素敵だ。

 すごさの方向は、今で言うなら「馬鹿(いい意味で)」とか、「馬鹿(ほめ言葉)」みたいなものなのだろう。「画狂人北斎」のちに「画狂老人卍」と名乗るような、かなり変わった人であったよう。たまりませんね。

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