奈義町現代美術館

　奈義町現代美術館にある、荒川修作棟の円筒内部と、磯崎新棟の迫る壁。壁から控えめにせり出しているひさしの下で物思いにふけるのが通ですな。どうせお客さん少ないし。それより傾いた円筒ですよ。中に入るらせん階段もいい加減狭いけど、入ったら床も円筒そのままで、曲面に沿って曲がったベンチが据え付けられている。傾いた円筒の低い側が背中になっていて、座ると後ろに倒れそうでものすごく不親切なベンチ。ことごとく「バリアフリー」の対極にあるフリーダム加減なんである。県立公園や町立美術館にして、実に潔い施設ではないか。そういう遊び道具のあるところが好きで、金沢21世紀美術館にもいつか行ってみたい。美術館巡りをしているようでいて、書いているうちに、僕はそれほど美術品は好きではないのではないかという気がしてきた。

　むしろショーケース。どんなに素晴らしい物もどんなにくだらない物も、見栄えはショーケースに引きずられる部分があるということを忘れないように。これは、職場旅行での宿のロビーでございますな。美術館はだいたい撮影禁止だったりいたしますので、気に入ったショーケースの写真も撮れないのが残念。