Clinical characteristics and risk factors associated with COVID-19 severity in patients with haematological malignancies in Italy: a retrospective, multicentre, cohort study
Lancet Haematol. 2020 Aug 13;7(10):e737-e745. doi: 10.1016/S2352-3026(20)30251-9.
PMID: 32798473
背景
血液悪性疾患にCOVID-19を合併した患者に関する研究は小さなものがいくつかあり、高い死亡率が報告されている。The Italian Hematology Alliance on COVID-19は、COVID-19のために入院が必要となった成人の血液悪性疾患患者からデータを収集することを試みた。
方法
今回の他施設共同、後ろ向きコホート研究はWHOの定義による血液悪性腫瘍と診断された成人患者(18歳以上)で、かつ2020年2月25日から5月18日までの間に検査で確定された症候性COVID-19のためにイタリアの66病院に入院した患者を対象とした。データ収集は2020年6月22日で打ち切った。主要評価項目は死亡率と、死亡率を予測する可能性のあるパラメータの評価とした。研究コホートにおいて観察された死亡と、イタリアの各層に特異的なCOVID-19の死亡率、イタリアの血液悪性腫瘍コホート(COVID-19罹患なし、2019年3月1日までのデータ) 31,993人の間で標準化死亡比を計算した。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて全生存と関連する因子を同定した。この研究はClinicalTrials.gov(NCT04352556)に登録されており、前向き研究の部分は現在実施中である。
結果
536人の患者が登録され、データ打ち切り時点におけるフォローアップ期間の中央値は20日(IQR 10~34)、85人(16%)が外来で管理可能だった。入院患者451人のうち440人(98%)で入院が終了(退院または死亡)していた。536人のうち198人(37%)が死亡した。イタリアの一般人口におけるCOVID-19感染者と比較すると、標準化死亡比は研究コホート全体で2.04(95% CI 1.77~2.34)、70歳未満の患者では3.72(2.86~4.64)だった。COVID-19に感染していない血液悪性疾患コホートと比較すると、標準化死亡比は41.3(38.1~44.9)だった。高齢(ハザード比 1.03, 95% CI 1.01~1.05)、疾患の増悪(2.10, 1.41~3.12)、急性骨髄性白血病(3.49, 1.56~7.81)、インドレント非ホジキンリンパ腫(2.19, 1.07~4.48)、アグレッシブ非ホジキンリンパ腫(2.56, 1.34~4.89)、形質細胞腫瘍(2.48, 1.31~4.69)、重症のCOVID-19(4.08, 2.73~6.09)が不良な全生存と関連していた。
結論
今回の研究により、血液悪性疾患患者は一般人口におけるCOVID-19の罹患者やCOVID-19を罹患していない血液悪性腫瘍患者よりも予後が悪いというエビデンスが増した。COVID-19のために入院した血液悪性疾患患者の高い死亡率は、少なくとも有効なワクチンや治療戦略が利用可能になるまではアグレッシブな感染症予防戦略が必要であることを浮き彫りにした。
Funding: Associazione italiana contro le leucemie, linfomi e mieloma-Varese Onlus.