限局期DLBCL患者に対する、PETに従った治療に関する臨床試験結果(S1001研究)

2020-09-09 14:45:07 | 悪性リンパ腫

Positron Emission Tomography-Directed Therapy for Patients With Limited-Stage Diffuse Large B-Cell Lymphoma: Results of Intergroup National Clinical Trials Network Study S1001
J Clin Oncol. 2020 Sep 10;38(26):3003-3011.  doi: 10.1200/JCO.20.00999.  Epub 2020 Jul 13.
PMID: 32658627

目的
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は患者の25%〜35%が限局期で、進行期と比べて全生存(OS)は良好だが、治療法に関わらず持続的な再発を伴う。推奨されている治療はR-CHOPと放射線治療である。PETの結果に従った治療アプローチの有望な成績結果に基づき、著者らは治療成績を改善し毒性を軽減することを目的にNational Clinical Trials Network (NCTN)の研究をデザインした。

方法
非バルキー(< 10 cm)の1期または2期の未治療DLBCL患者に標準的なR-CHOPを3サイクル行い、中間PET-CT(iPET)を行い中央でレビューした。iPETが陰性の患者はR-CHOPを1サイクル追加し、iPETが陽性の患者にはinvolved field radiation therapyを行った後イブリツモマブ チウキセタンによる放射免疫療法を行った。

結果
158人の登録患者のうち132人が適格で、128人がiPETを受け、このうち14人(11%)が陽性だった。フォローアップ期間の中央値は4.92年(range, 1.1〜7.7年)で、増悪は6人のみで3人がリンパ腫により死亡した。11人がリンパ腫以外の原因により死亡し、年齢の中央値は80歳だった。5年無増悪生存率の推定値は87%(95% CI, 79%〜92%)、5年OSの推定値は89% (95% CI, 82%〜94%)であり、iPET陽性とiPET陰性の患者で結果は類似していた。

結論
著者らの知る範囲において、S1001研究はリツキシマブ時代の米国における限局期DLBCLに関する最大の前向き研究であり、この疾患サブセットにおけるNCTNの最良の結果を伴っていた。PETに従った治療を行ったところ、iPET陰性だった89%の患者がR-CHOPを4サイクル受け、11%のみがiPET陽性で放射線治療を必要とし、両群ともに優れた治療成績を示した。今回の研究は、R-CHOP 4サイクルのみの治療が限局期患者の大多数にとって新しい標準的アプローチであることを確立した。