免疫調節薬で治療される多発性骨髄腫患者を対象とした、アピキサバンを用いた静脈血栓一次予防

2020-08-20 13:11:23 | 多発性骨髄腫

Primary prevention of venous thromboembolism with apixaban for multiple myeloma patients receiving immunomodulatory agents
Br J Haematol. 2020 Apr 21.  doi: 10.1111/bjh.16653.
PMID: 32314352

免疫調節薬(IMiDs)は多発性骨髄腫(MM)患者の生存率を改善し、全てのフェイズの治療において中核を成している。IMiDsは忍容性が良好であるものの、静脈血栓塞栓症(VTE)の頻度を上昇させる。

今回の第4相、単アームのパイロット研究において、IMiDsで治療されているMM患者50人にVTEの1次予防目的でアピキサバン 2.5 mgを内服で1日2回投与し、前方視的に6ヶ月間モニターした。安全性に関する主要評価項目は、6ヶ月の間に発生した大出血と、臨床的に関連のある非大出血の発生率とした。有効性に関する主要評価項目は6ヶ月間の症候性VTEの発生率とした。

使用されたIMiDsはレナリドミド(58%)またはポマリドミド(42%)だった。6ヶ月の評価期間中に、大出血やVTEは発生しなかった。3人が臨床的に関連している(非大)出血を呈し、医学的な対応を受け、全例でアピキサバンを再開できた。アピキサバンに対するアレルギー反応のために開始後早期に治療を中止した患者が1人いた。脳卒中、心筋梗塞を合併、または死亡した患者はいなかった。

今回のパイロット研究において、低用量のアピキサバンはIMiDs投与を受けるMM患者のVTE1次予防として安全で忍容性良好であった。低用量アピキサバンをIMiDs投与を受けるMM患者の標準的な血栓予防戦略として検証するため、さらなる研究が必要である。