ジャッジ 裁かれる判事

2015年08月17日 | ■MOVIE

ジャッジ 裁かれる判事

完全ネタバレ*注意*

苦手なロバート・ダウニーJr.だが、主人公の彼は流石に飽きさせない演技は良く、ちょっと嫌な男の役柄も合ってた。

ロバート・デュバルが出ているし、雰囲気が良さそうな印象で観たのだが、予想以上になんか泣けそうないい話で、思い出すとじわじわくる。

あたしの好きな曲が良いところでかかるのも嬉しかったな。

主人公は弁護士で、母の死をきっかけに疎遠だった実家に帰ってくる。

とにかくこの弁護士は、勝てたら良いと言う考えでボロ儲けしてて良心なども無さそうな嫌な感じだ。
妻とは離婚を決めているし、その中、久しぶりに父と兄弟達に再開したが、父とはちっともうまくやれない。
父は頑固でちょっと気難しいが、判事として長年働いてきた。
この父を演じるのがデュバルだ。

最初の方、父が判事として働いているシーンがある。この判事が凄くかっこいい。生真面目な風ではなくて、なんというか魅力的。この街の名判事だっただろう。

さて、ただでさえ仲良くできずに気まずい親子。主人公はとっとと帰ろうとする。だが、なんと!父が殺人犯かもしれない?と言う事件が発覚した。

父の車には、殺された人間の血などがあり、この長いあいだ判事として信頼されてきた彼が、本当に犯人かはわからない。

父が雇った弁護士は頼りなく、相手側の弁護士はなんだか凄そうだ。相手側は父が故意に殺害したと言うことにしたいようだけど。

結局頼りない弁護士と代わって、主人公が父の弁護士となる。

年をとった父は末期ガンで、治療を受けている事実、妻に先立たれた孤独。
主人公は父に寄り添うが、遂には辛いと感じていた父への想いを吐き出して大喧嘩。ここで兄がどうして野球選手の道を断たれたのかや、過去の主人公のことが分かる。不良で迷惑かけてたとか。

そうこうしながらも、父の裁判は続く。
最後の法廷で、息子は父が知られたくなかった事実を口にする。何故なら父は犯人を殺した記憶がない、だが殺したかもしれないように想わせる発言をしたからだ。知られたくないと言うのは、病気の治療によって、記憶障害があったりすること。それを知られたら、病気のあいだに判事としてやってきた判断すら疑われるかもしれないし、自分の経歴に傷がつくなど耐えられないというのだ。
だが、犯人を殺した記憶がないのは事実だし、このままでは、父はとても不利だ。

主人公はそのことを暴露し父の記憶力が今も怪しいことを皆に理解させる。

父は今回殺された男とずっと昔、また別の事件で判事として関わっている。その男は殺人鬼だった。犯人を信じられないほど甘い判断で裁いており、またその後その犯人が直ぐに殺人を犯したことを、とても後悔していた。

息子が、何故最初そんな甘い判決を下したと更に問うと、父はその想いを打ち明ける。その男が、主人公と重なって見えており、悪いことをしても、また更生すると信じて息子のように抱きしめてあげたいと思っていた。

その男が結局すぐに殺人を犯したことで、父が主人公を見ると、その男を思い出すようになってしまった。

それを聞き主人公は涙する。そして判決の日、父の罪は無罪だが、軽い罪の可能性については有罪となり、4年間の服役を命じられる。

もう末期なのに、刑務所行きはちょっと心配になる。でも実際、本当に誰が殺したかはわからないまま。

その7ヶ月後、恩赦で出所した父を迎えに行った主人公。父と釣りを楽しみながら昔の話などをしていると、父が、前に質問されたことを話出す。
最高の弁護士は誰だと前に主人公がたずねた時は、別の人の話をしていた父だが、主人公が最高の弁護士だと言ってくれる。

そうして釣りを続けていると、父は、眠るように亡くなってた。
最後は父の葬儀へと続く。

暗い話ではなかった。人の心の通い合うことの難しさ、辛さ、それによって得る何か、そう言うのが主人公を変えていく。

それにしても犯人は誰だったんだろう?
殺された男は、殺される前にスーパーで、父と遭遇していたし、父は男が向かった方へ車を走らせている。車には血も付いてた。

でも人をひいていたら、確実に動かぬ証拠があるはずだし、なんで血が付いてるのか?その男はなんで死んだのか、謎だ。

それに父が殺人犯かもと言うのは、あり得そうな気がしてしまうのだが、しかし彼は犯人じゃないだろうと思う。

父が、有罪のやつは法廷から逃げる、自分は逃げないといってた。あの言葉は、彼の本質を表している気がする。

そもそも殺された男の方が、誰に殺されても不思議ではなく、考えれば考えるほど犯人がわからず混乱してくる!

だけどまあ父が本当に、男をぶっ殺したとするなら、うん、そうだとしても、
この作品は、犯人が誰かなど、あんまり関係ないし!(笑)

そもそも記憶がないのは事実だから、無実。ただ裁判で負けただけ。

*後ほど一緒に見てたtapiと話したところ、主人公の父は犯人で、故意か記憶がないかを裁判してたんだよって言う。あたしは全然違う見方というより主人公の父を信じ切って見てたようだ。ゆえに感想がこうなった*

家族が紡ぎあっていく想いや理解や信頼が、人を温め、考えさせ、大切にさせていくかを描く。そのための無理解な時間、過去、辛さがある。
親子のハードルは高い。だから、それだけ幸せな気持ちを知るのだ。

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