立憲民主党の福山哲郎幹事長は5日の読売テレビ番組で、大型連休明けの7日以降に国会審議に復帰する方針を示唆した。加計学園問題をめぐり、柳瀬唯夫元首相秘書官が学園関係者との面会を国会で認める意向であることを受け「少し事情が変わった」と語った「以下略」

 

確かに柳瀬唯夫元首相秘が「首相案件」と発言したことを認めたことで要求がほとんど通ったといえる。だが嘘ついたら罪に問えることもある証人喚問じゃなくて嘘ついても罪に問えない参考招致でいいのか?甘すぎるかも。

 

柳瀬唯夫・元首相秘書官が面会を認める意向を固めた──。5月2日、メディアが報じたように、柳瀬元首相秘書官が「記憶にない」と繰り返してきた加計学園幹部らとの面会の事実を認めるのだという。毎日新聞によれば、〈否定し続けるのは難しいと判断〉したらしい。

 まったく、国民を舐めきっているとしか言いようがない。そもそも、「本件は、首相案件」という官邸面会文書を朝日新聞がスクープし、翌日に愛媛県の中村時広知事がその存在を認めてから約3週間も経っているのだ。しかも、その後も農水省から同様の文書が発見されたり、内閣府から文科省に送られていた柳瀬首相秘書官と加計学園、愛媛県、今治市職員らとの面会スケジュールを記したメールが見つかるなど、どんどんと外堀は埋められていったのに、「記憶にない」の一点張りだったのだ。

 だが、さらに唖然とさせられたのは、「意向を固めた」とか「面会を認める方向」「認める方向で政府与党調整」という表現だ。念のため繰り返すが、これまで柳瀬首相秘書官は「記憶にない」と言っていたのだ。どうして「与党との調整」や「方針転換」で事実が変わったり、記憶がよみがえったりするのか。ようは、「嘘をついていた」と自白しているに等しい。

 だいたい、「否定し続けるのは難しいと判断」したのは柳瀬氏本人ではもちろんなく、安倍官邸であることは間違いない。佐川宣寿・前理財局長と同様、柳瀬氏に無理のある嘘をつかせ、野党の証人喚問要求も受け入れずに国会を空転させてきた、その責任は安倍首相にあるのだ。

 しかし、セクハラ問題でも露呈したように、往生際の悪さにかけては右に出る者はいない安倍政権は、この期に及んで、まだ柳瀬元首相秘書官の嘘を嘘とは認めないつもりらしい。

 というのも、与党関係者は毎日新聞の取材で、こう話しているのだ。

「愛媛県や今治市の職員は加計学園関係者の後ろにいたから、記憶に残っていないのだろう。学園関係者との面会を認めても、うそをついたことにはならない」

 つまり、2015年4月2日の官邸での面談は加計学園関係者が相手との認識で、愛媛県や今治市の職員は記憶に薄いのも当然──。いまさら何を言っているのだろうかと思うが、なぜこれで「嘘をついたことにならない」と主張できると考えているのか。「中略」

「加計とは会ったが今治市の職員の記憶なし」という言い訳が通用しない理由

 

 最初に2015年4月2日の官邸訪問問題が浮上したきっかけは、今治市から職員の出張記録だった。この出張記録は2016年に情報公開請求で開示されたもので、訪問相手などは黒塗りにされていた。そんななか、昨年7月に「週刊朝日」(朝日新聞出版)が「今治市職員が面会した相手は柳瀬首相秘書官」という今治市関係者の証言をスクープしたのだ。

 そして、この報道について昨年7月24・25日におこなわれた閉会中審査で問われた柳瀬元首相秘書官は、このような答弁に終始したのだった。

「お会いした記憶はまったくございません」
「記憶にほんとうにございません」
「覚えておりませんので、これ以上のことは申し上げようがございません」
「覚えてございませんので、会っていたとも会っていないとも申し上げようがございません」

 ようするに、このとき問われたのは「今治市職員と面談したかどうか」であって、一方、今回、柳瀬氏が認める方向だというのは、加計学園関係者と会ったということ。今治市や愛媛県の職員は「加計学園関係者の後ろにいたから、記憶に残っていない」と言い張ることで、嘘はついていない、ということにするらしい。

 だが、この方向で柳瀬氏が言い訳しても、これもまた「嘘」を重ねることになる。官邸訪問の際、加計学園事務局長が同行していたことは昨年8月10日の朝日新聞の報道であきらかになるのだが、このとき、柳瀬氏は朝日の取材に対し、加計学園事務局長の同席についても「記憶にない」と答えているのである。「学園関係者との面会を認めても、うそをついたことにはならない」ということにはならないのだ。

 しかも、百歩譲って柳瀬元首相秘書官に愛媛県や今治市職員と面談した記憶がなく「あれは加計学園関係者との面談だった」と認識しているとしても、そのほうがなおさら大問題だ。

「中略」

 どのような手に出ようとも逃げ道はもう塞がれているのに、まだ悪あがきをしようとする安倍首相および官邸。さらに、どうやら官邸はこの「加計関係者とは会ったが愛媛県や今治市の職員と会った記憶はない」という言い訳以外に、もうひとつ逃げ道を考えているようだ。

 

安倍応援団の八代英輝弁護士も口にした「名刺がなかった」説も既に破綻

 

 それは、柳瀬氏が「指摘を受けて先方の名刺を探したが見つからなかった」と答えている件だ。「名刺がないから記憶にない」とは、これまた杜撰な釈明だが、これをアシストするようなコメントをおこなった者がすでにいる。安倍応援団として日々露骨な政権擁護と野党批判でめざましい活躍を見せている八代英輝弁護士だ。

 八代弁護士は5月2日放送の『ひるおび!』(TBS)で、柳瀬元首相秘書官が面会を認める意向だというニュースが取り上げられた際、こんなことを言い出した。

「ひとつ思ったのは、愛媛県から文書が出たじゃないですか。愛媛県の職員の方々が柳瀬さんの名刺を一緒に出せば、もう決まりなのになって思っていたんですよ。なんで柳瀬さんの名刺を愛媛県も今治市も出さないんだろう。ここでちょっとなるほどと思ったのは、柳瀬さんとそのときほんとうに名刺交換していないのかもしれないなと、いまちょっと思いました」

 歴然とした面会記録や訪問を裏付けるメールが出てきているのに名刺交換をしたか否かを問題にするとは、なんとか正当化しようという必死さが見て取れるが、しかし、これも言い訳としては通用しない。すでに愛媛県の関係者は「県庁から柳瀬氏の名刺が見つかった」と、TBSの取材に証言しているからだ。

 普通にその立場関係を考えれば、柳瀬氏が名刺を渡さないということはあり得るだろうが、愛媛県や今治市の職員がわざわざ官邸まで出かけて行って「名刺を忘れました」「名刺を切らしておりまして」などという言動に出られるはずがない。愛媛県には柳瀬氏の名刺があるのであれば、それは名刺交換はおこなわれたと見るべきで、柳瀬氏は名刺を捨ててしまったのか、あるいは“隠蔽”しているのだろう。無論、名刺が見つかったというのが事実であれば、今後の展開によっては愛媛県側から柳瀬氏の名刺が出てくる可能性も十分考えられる。

 このように、いまさら何を主張しようが、柳瀬元首相秘書官が嘘をついていたことは隠しようのない真実だ。そして、なぜこんなすぐにバレるような嘘をついたかといえば、加計学園が「首相案件」であったことを絶対に認めるわけにはいかない安倍首相を守るため、それだけだ。

 森友学園問題と合わせれば、安倍首相の保身のために、国民も国会も、もう1年以上も欺かれつづけているのである。与党側は相変わらず柳瀬氏を参考人としての国会招致を主張しているが、こんなことを承服できるはずがあるまい。証人喚問は当然だ。

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柳瀬元首相秘書官「面会認める」へ方針転換の裏! 官邸が姑息な“言い訳シナリオ”用意するもすでに破綻が