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鼓曲萬来

THIS IS MY BAG2 (北京の55日)

中学校は私立の男子校
1学年5クラス位あったのでそりゃ昼休みは騒がしい訳ですわ
まあ、体育部関係の奴らは部室に行くため
教室から出て行ってましたけどね
つまり昼休みに教室に残ってるのは
一部の成績の良い真面目系と運動かったるいわ!系

デルシャノンの時に話しましたが
其の頃はリヴァプールサウンドって奴に夢中になってまして
結構夜遅くまでレコードを聞いたり 時には椅子をドラム替わりに叩いたり
ラジオから流れてくるそれらの音を眠い目を擦りながら聞いておりました

ただ小学校の頃と違って朝早く起きて
学校のある池袋迄 1時間位掛けて通わなきゃならないんですわ
従って授業中といわず休み時間もそりゃ睡魔が襲ってくる訳です
もう頼むからこのまま寝させて欲しいとひたすら祈るような時間

そんな時にですよ
まあ、「フォークソングは嫌い」とよく申しておりますが
その決定的と申しますか、プライマリーな部分の話をしたいと思いまして

当時の中学生に流行ってたのは所謂フォークソングといったジャンル
クラスの勉強の出来る連中の興味は
VANやJUNといったアイヴィールックという奴に憧れると同時に
アメリカンフォークって奴も彼らの重要なアイテムでもありました

キングストントリオ、ボブデイラン、ピーターポール&マリー
ジョーンバエズってとこですな
ただ`PPMやバエズは女性がいないと出来ませんでしたし
デイランは歌詞が難しすぎておまけに長いという事で
そこで人気があったのがブラザースフォー

ルックスもクリーンカットの超アイビーぽい感じで
曲調もスローで穏やかな感じでしたので
クラスの昼休みにロッカーに置いてあるギターを弾きながら
何人かで歌うそんな状況になっておりました

ブラザースフォアは まあフォークソングスタンダードと申しましょうか
500マイル 花はどこへ行った 風に吹かれてってところから
遥かなるアラモ、グリーンフィールズ
七つの水仙 トライトゥリメンバーといった
反戦、プロテスト、アジテーションといった感じも無く
カレッジ生活を楽しもうといった感じのスローなナンバーが多かったので
休み時間に私の貴重な睡眠を邪魔する風情はございませんでした

まあ、そのままやってて下さいねという感じでしたが
で、ここからもう一つの伏線が出てくる訳でして
其の頃科目に世界史なんて授業がありました
授業内容は丁度「日清日露」なんて時代に差し掛かっておりましたかね
いわゆる「北京の55日」なんて奴

時代背景もいきさつもチンプンカンプンで
どうしてそうなったのか
ストーリー展開も列強の思惑も何も 
自分の中では最も理解しがたい状況になっていた訳です

つまり列強8国(米・英・独・伊・仏・露・洪墺・日)が
連合して清を分割するという内容でして
これは世界史的には義和団の乱として世に知られておりますな

どうでしょう、ここから日露の争いに移行していく歴史
そしてラストエンペラーからの清の滅亡
やがて訪れる列強同士による二回の世界大戦
昨日の敵は今日の友

なかなかその力関係、思惑、政治的内情の推移等
中坊としましては理解に梃子摺りまして
もう授業受けてるだけで眠気も襲ってくるような
国家間の今に続く帝国主義の植民地政策の複雑な流れであります

その授業に時代的にシンクロしてた訳じゃないんですが
彼等のアイドルであるブラザースフォアが映画の北京の55日を題材に
ちょっと中国目線にたって
映画音楽に歌詞を付けてシングルをリリースしていた訳です
普通のフォークソングやってりゃ良いのに 
これですな

55 Days at Peking 日本語訳(北京の55日) 

まあ、クラスのフォーク野朗達は目先の変わった曲が有るって訳で
丁度授業もそれですし 先生にゴマする気持ちも有ったんでしょう
内容や義和団の事、複雑な国際事情等これっぽっちも気に掛けず
せっせとコピーし、昼休みにリハーサルに入る訳ですが
弁当頂いた後の昼休みの大事な睡眠休憩タイム
机にうつ伏せてウトウトしてますと
彼等の歌声は嫌でも耳に入って来る訳です

同時にあの克美しげるさんの日本語訳版も出まして
まあ,コンプライアンス的にも色々あった方なので此処には上げませんが
彼等は歌詞はそちらで歌っておりました 

ボンボンボンボボン~♪
ボンボンボンボボン~♪

ゲゲゲの鬼太郎じゃあるまいし
こんな軍歌みたいな歌 もう耳につく訳ですな 
で、眠いときにボンボン聞こえてくるのも辛いですが
更にこういった感じが好きな奴らの特徴でもありますが
ここで例の奴が出て来る訳です
「君も一緒に歌ってみないか、さあ恥ずかしがらずに!」って奴

なんというんでしょうかね、この感じ
いや彼らに悪気も無いのも解っておりますし 
正しく学校生活を健全に真面目に送っていると言えば
そりゃそうなんですが

いや、しかしこういったなんと申しますか
クラスの中は自分が好きなら皆も好きだろうと
善意の押し売りみたいな
そういった意識の奴らが何故か中心となって
強引に動かされていく事が多かったんですわ

で、寝てるのを起こされてこんな戦争反対の真逆をいくような歌を
にこやかに笑顔で誘って来る奴ら
まあ、それでもクラスメートですからね 
それにクラスの中心ともいえる連中
喧嘩しても割り合いませんし
 
「ああ...」とか言いながら一緒にそこだけ歌いましたわ
ボンボンボンボボン~♪
ボンボンボンボボン~♪

其のときからでしょうね多分
まずフォークギター持って教室の机に座って歌う連中(立って歌えよな)
歌詞カードだかコード譜だかを見ながら演奏する連中(その位覚えろよ)
自分だけで楽しめばいいのに周りを誘い込むような連中
そんな連中の姿がとてつもなく格好悪く思えてしまいまして
フォークソング=(北京の55日を楽しそうに歌う奴ら)
そういった図式が出来上がりまして

そうそう、もう1曲 執拗に歌わされた曲がありました
どうしてもフォークと言いますと
PPMのシュ~シュ~シュラル~シュララックシュラババク~ル
そしてこのブラザースフォアの
ボンボンボンボボン~♪ボンボンボンボボン~♪が心に刻まれてしまいまして
心の底から「勘弁して欲しい」という感情が沸々と湧いてくるのであります

虹と共に消えた恋 Gone The Rainbow/ピーター・ポール&マリー PPM  

いや~なんつ~か
近田も言っておりましたが このシュ~シュ~の後の
ウエンアイソーマイサデバデビルはお互いに最も駄目なところでして
逆の意味で此れはいかんと意見の合う数少ないフレーズの筆頭であります

ジョニーは戦場へ行ったって奴ですっかね
いやこういったのがお好きな方には本当に申し訳ないんですがね
当時中坊真っ只中の私には悲しい....悲しすぎる
これから楽しい事が一杯待ってるのに
何故にこんな悲しくて侘しく寂しげな曲が好きなのかと
テンポも含めて生理的に受け入れられませんでしたわ

まあ中には良い曲もあるんですがね
もうアコーステイックギターもって「さあ一緒に!」
という感じが出た時点で「北京の55日」
フォーク嫌い!という図式になってるのであります

と、申しましてもあれから半世紀
いやよいやよも好きの内って事もありますし
フォークソングが悪い訳じゃなく
私にそう思わせたあの教室の奴らが悪いのだと
そういうことに致しております 
いや個人的な話ですみません 乙

あの素晴らしい愛をもう一度-ブラザース・フォア 
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