ロートル技術屋の日記

車検の準備 HIDランプの交換 色温度5,000Kのランプを選ぶべき理由

2年前の車検でディラーの営業さんと買いに行ったHIDランプを2年間使いました。


HIDランプは high-Intensity discharge lamp、日本語にすると高輝度放電ランプとなり高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ(街灯などに使われていたオレンジ色のランプ:最近は見かけなくなりました)などの総称 です。
放電ランプなので電極間で放電しており、長く使っていると電極が減って行き間隔が長くなることで明るさが減少してゆきます。
仕事で使っている超高圧水銀ランプなどは電極間隔0.5mmで非常に明るいのですが、200~300時間しか持ちません。
車用のHIDランプは電極間隔が数mmと長いので少し減ったとしても間隔としては変化が少なく寿命が長いはずです。

3か月前の点検で光量不足を指摘されたときに、2年使用したので光量低下していてもおかしくないと考え純正品を探すことにしました。
新品は2本で26,000円ほどと高いので使用時間の短い中古品をフリマアプリなどで気長に探すことにしました。
2週間ほど探していたらOSURAM製D4Sの2本セットが送料無料の3,960円で出品されているのを発見しました。
出品者の方の説明によると修理で新品交換された後、別のランプに付け替えたのでほとんど使用していないとのことでした。
説明が本当であれば理想的な中古品です。
少し迷いながら購入することにしました。
フリマアプリの20%引きクーポンが使えたので実際の支払額は3,168円でした。

窓部分のクリーニングを終えたのでランプの明るさの違いを確認してみました。


上がこれまで使っていたランプ、下が購入したランプです。

下の方が明るく見え、色が黄色っぽくなっています。
明るく見えるので期待できそうです。
後述しますが、この黄色っぽいということが車検に大きく影響してきます。

HIDランプに限らず、他のランプやLEDでもその色合いを色温度で表現しているものが多いです。

「色温度」とは何か?
文字通り色と温度の関係です。

正確には黒体(光を反射しない真っ黒な物体:例えば炭のようなもの)の温度が上がったときに発する光の色をその時の温度で表現したものが色温度です。
単位は絶対温度のK(ケルビン)で表します。
普通に使っている温度の摂氏0度は絶対温度では273Kなので摂氏に直す場合は273を引かなければなりません。

色温度が使われる理由は、正確に温度が測定できれば誰でもその「色」を再現できるからです。

身近にあるもので目にするのはオーブントースターのヒーターでしょうか。
(厳密には光を反射するので黒体ではありませんが無視できるレベルです)
通電しているときのヒーターの色が色温度約1000K(およそ700℃)程度の色になります。
炭火の色も似たようなものですね。
炭火は間違いなく黒体放射です。

ちなみに黒体放射の話と太陽の色温度が5,800K程度ということをこちらで説明されています。


ちょっと難しい話になっていますが、図などを見るだけでも参考になると思います。
ガスコンロの色が黒体放射の色ではないと説明しているところが注目点です。
(色温度では表せない例です)

Wikipediaに色温度とスペクトル(波長ー強度分布)のグラフがありましたので転載します。
(このグラフはGNUフリー文書利用許諾書 に基づき転載しています。)


このグラフでは色温度が高くなるほど光強度が大きくなりそのピークが短い波長=青い色の方にずれていくことを示しています。
同一のものの温度が上がればこうなるわけですが、物が違えばピークの高さが変わります。
仮に、ピークの高さが同じ状態で色温度が違うと色温度が高いものは青い色の光の比率が高くなり、色温度が低いものは赤い色の光の比率が高くなることがわかります。

車検とヘッドライトの色温度の関係
車検の際にはヘッドライトの明るさと光の広がり方をヘッドライトテスターという装置で検査するようです。
この時に使うセンサーの分光感度について調べてみました。
検索してもなかなか出て来ず、特許公報で標準比視感度に合わせていることがわかりました。
標準比視感度は色々な波長(色)の光に対して人間の目が感じる感度を表しています。
一般社団法人 照明学会の基礎事項解説ページにグラフがありましたので転載します。

このグラフの形とピーク約560nmがランプのスペクトルと一致していないとランプの光が無駄になってしまい「暗い」と判定されてしまいます。
黒体放射のスペクトルからすると色温度5,000~5,500Kの時にピークが560nmに一致するようです。

これまで使っていたランプは色温度6,000Kでしたので青く見えるわけです。
標準比視感度とランプのスペクトルが一致していないことになるので、ヘッドライトテスターで測定すると暗く測定されそうです。
一方、購入したOSURAM製D4Sの色温度は5,000Kです。
一致しているので問題ないはずです。

今回のランプ交換でヘッドライトに関しては車検を通るような気がしてきました。

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