いつものように福原直人 さんの「星が好きな人のための新着情報」を見たらタイトルの情報がありました。
査読前の論文(多くの論文誌は同じような研究をしている方に間違いがないか確認する手順を踏んでから正式に掲載されます。この手続きが査読です)という事ですので間違ったところがある可能性があります。
近日点前に崩壊したら肉眼彗星にもなりません。
今日の紫金山-アトラス彗星と地球の距離は下記サイトの軌道図から約2天文単位、太陽との距離は約1.6天文単位と読み取れます。
fornax8 さんに紹介していただいたこちらのサイトでは現在の紫金山-アトラス彗星の光度が9.6等となっています。
天体の明るさは距離の2乗に反比例するので地球から1天文単位の距離にあったとすると4倍の明るさになります。
1等級違うと2.5倍明るさが違うので4倍は約1.5等級明るく見えることになり、地球から1天文単位の距離にあったとすると8.1等で見えることになります。
紫金山-アトラス彗星と太陽との距離1.6天文単位を対数で表すと0.20になります。
何度も紹介している国立天文台の渡辺潤一先生の書かれた 下記解説記事の図5に計算した8.1等と対数で表した太陽との距離0.20を当てはめてみるとオースチン彗星C/1989 X1よりも1等級強暗いことになります。
紫金山-アトラス彗星はオースチン彗星よりも小さいと言えそうです。
渡辺潤一先生は彗星の表面に不揮発性の熱を伝えにくい物質の殻が出来て内部が加熱されなくなって明るくならなくなったと解釈されています。
この説が正しければ崩壊しないと思います。
近日点付近で崩壊したアイソン彗星 C/2012 S1 は近日点距離0.012天文単位でした.
核が分裂して明るくなったウエスト彗星C/1975 V1 は0.2天文単位でした。
光度変化が似ているオースチン彗星は0.35天文単位で崩壊も分裂もしませんでした。
紫金山-アトラス彗星 は0.39天文単位ですので崩壊も分裂もしない可能性がありそうです。
今、話題になっている論文の見解が一部正しくて近日点付近で崩壊ではなく分裂して明るくなってほしいです。
今回の論文の話もマスコミに伝わると思われ、直前まで騒ぐところはないと予想されるので期待したいですね。