11月末に、イスラエルがレバノンのヒズボラと停戦したと思ったら、その直後にシリアでISがアレッポに侵攻したというので、どうやらシリアに矛先を向けかえるための停戦だったらしいと言われていた。
ISは表向きはシリアの反政府派でイスラム過激派なのだけれど、実はアメリカが組織して軍事支援しているテロ組織だ。
そして、イスラエルとトルコがそれぞれの利益で支援していると言われている。
シリアはロシアとイランの同盟国なので、つまりはバイデン政権がロシアを攻撃するために起こさせている紛争なのだ。
アメリカの軍事専門家のスコット・リッターは、これはアメリカ帝国が追い詰められたあまりに、大失策を犯したといったものだ、と言っていた。
多くの人々は、これでロシアはシリアの戦争までやらなければならなくなり、追い詰められたのではないかと言っていた。
しかしスコット・リッターは、それどころではない、というのだ。
イスラエル軍は、レバノンのヒズボラとの戦いでもう限界に達していた。
それで、シリアを急襲する作戦に入ったのは、あわてて自分から泥沼にはまり込んだようなものだった、と。
ところが、その翌日の12月8日に、IS軍はあっさりとダマスクスを占領してしまったのだ。
アレッポからダマスクスはかなりの距離があるし、シリア政府軍はロシア軍に支援されて、アレッポを奪還しようとしていたはずだった。
それなのに、IS軍はほとんど何の抵抗もなく、ダマスクスまで達してしまったという。
前日までは、そんなに簡単に敗退しそうなことは何も言っていなかったのに、いきなりこんな状態になっているというのだ。
このことは、裏で何か取引があったのではないかと思わせる。
アサド大統領は前日の夕方から姿を消しているというのだけれど、それ以外の政府の官僚はダマスクスに残っていて、IS軍と平和的に話し合うと言っていた。
抵抗するでも逃げるでもなく、反乱軍を受け入れるというのだ。
シリアには、ロシア軍もイラン軍もいたはずだった。
だけど、シリア政府軍があまりに弱くて、さっさと撤退してしまったので、手が出せなかったのだ、といくつかのニュースサイトが書いていた。
だけど、それにはあまりにもあっさりとし過ぎている。
そんな敗退の仕方で首都が占領されるなんて、大ごとなはずなのに、それにしては何だかやけに穏やかな空気が漂っているのだ。
ダマスクスの状況を伝える映像も、そんな大勝利を遂げた反乱軍が凱旋しているといった風ではなく、妙に貧弱に見えたし、人々も嘆いたり恐れたりしている風でもない。
そのさまは、何だか皆で示し合わせてお芝居でもしているように見えた。
ちょうど前日に、カタールのドーハで、シリアの紛争についての国際緊急会議が開かれたところだった。
ロシアのラブロフ外相も出席していた。
トルコは、今回のシリアの紛争については関連していないと言っていたのに、エルドガン首相がこの会議でとつぜん、反乱軍が無事にダマスクスにたどり着けるのを願っている、と発言したそうだ。
それも奇妙な話だった。そんなことを言ったら、トルコとロシアの関係が悪化するに決まっているのに、どうして突然そんな発言をしたのかがわからない。
ましてやその翌日に、エルドガンが望んだそのままに、反乱軍は本当に何事もなくダマスクスに到着したというのだから。
IS軍は、ダマスクスに到着して、まず刑務所を襲って、収監されている仲間を解放した。それから大統領官邸に入り込み、あれこれ略奪していた。
しかし、それ以外、人を襲うわけでもなく、異様に平和的な様子だった。
しかも、イスラム過激派なはずなのに、カリフ制のイスラム教国を作るのではなく、アサド政権の官僚とも話し合って、あらゆるシリア国民を代表する政府を作ると言っているというのだ。
あと一ヶ月ちょっとで、アメリカはトランプ政権に移行する。
IS軍も、結局はアメリカ政府が資金を出してやっているのだから、たとえ今、シリアを占領させても、トランプ政権が資金を止めてしまえば、ISは消えてなくなることになる。
だから戦闘を避けて、ダマスクスを取らせてしまうことにでもしたのだろうか?
あるいはこれは、トロイの木馬みたいな戦略なのだろうか?
特に妙なのは、ロシアもイランも何のコメントも出していないということだった。
ちょうど緊急会議を行ったところで、こんな敗退の仕方をしたのなら、どういう状況でこういうことになったのかという説明が何かしらあってもよさそうなものだ。
撤退するにしても、どういう状況で、そういう決断をせざるを得なくなったのかとか、人々をどうやって避難させるとか、普通はそういう話があるものだ。
それなのに、そうした情報がまったくない。人々も、逃げようとするわけでもなく、抵抗するわけでもなく、双方まったく平和的な様子だった。
これは、あるいはトランプが何か取引でもしたのだろうか?
アサド大統領が退任して、新政府を作り、IS軍の逮捕者も釈放するから、戦闘をたがいに止める、ということで取引が成り立ったということなのかもしれない。
すると、トランプがシリアの状況について、SNSにメッセージを書いていた。
アサドはもういなくなって、ロシアもイランもシリアには興味がなくなったのだから、アメリカはもうシリアには手を出すべきではない、と言っている。
ということは、アメリカはもうシリアの反政府派を組織して、軍事援助するのは止める、ということなのだ。
もし、アメリカがシリアの反政府派を支援しないのなら、ロシアもイランも、シリアを防衛する必要はもうなくなる。
それで、アサドを退任させることでかっこうをつけて、戦闘をやめ、和平を結ぶことにしたのかもしれない。
イスラエルは、シリアとの国境付近の緩衝地帯に、国境防備のためにと軍隊を送り込んだりして、イラン政府に批判されたりしていたけれど、ネタニヤフ首相は、「イスラエルと平和的共存を望む国とは、友好関係を築きたい」と、これまでとは打って変わった温厚な発言をしていた。
イスラエルは、シリアの空軍基地を爆撃していたというのだけれど、それはシリアを非武装化させるという取引でなのじゃないかと思える。
イスラエル軍がシリアの領空に入っているというのに、ロシアとイランの空軍は迎撃しようとも警告しようともしていなかったというのだから。
だとしたら、シリアを非武装化中立化して、緩衝地帯にするということで、イスラエルとトルコとの間に、和平交渉が成り立ったということなのかもしれない。
トランプは、「アサドも追い出されたことだし、実際、これが彼らにとって最上のことが起こったのじゃないか」と書いていた。
もしそういうことならば、確かにこれは、誰にとっても最上のことだと言えるだろう。
7日の夕方から姿を消していたアサド大統領は、飛行機で逃亡しようとして、撃墜されて亡くなった可能性がある、と報道されていた。
それも何だか真実味が感じられなかったのだけれど、案の定、8日の夕方になって、家族ともども無事にモスクワに到着したという情報が入ってきた。
政治難民としてロシアが受け入れたということだった。この書き方からして、事前にできていた話だったのだろう。
ところで、しばらくしてから、アサド大統領が反乱軍との交渉で政権交代に応じ、シリア政府軍に撤退することを命じたという情報が出てきた。
それで、反乱軍が市民を傷つけないようにするという取り決めもできていたということだった。
シリアにあるロシア軍の基地も、ロシアの外交施設も、反乱軍は攻撃しないことになっているそうだ。
おそらくは、前日に行われたカタールでの緊急会議で、そうした話し合いがすべてできていたからのことなのだろう。
しかし何よりも、ISをどうするかについては、つまるところアメリカに決定権があるわけだから、次期トランプ政権チームが取引しなければ、こうした流れになるはずはない。
すでにトゥルシー・ギャバードが情報局長に指名され、CIA長官もFBI長官も、軍産ロビーと戦うつもりの人物に決まっているのだから、トランプは就任前から、こうした取引をすることができるのだ。
トランプ次期大統領が決まってから
日本の政治屋たちは
相変わらず
なんとかの壁とか・・・
さっさと税金下げて手取り増やせばどう