最近読んだのは呉 勝浩氏の『爆弾』
ミステリーが好きで今まで沢山読んだが
この作家さんのは初読み
「スズキ タゴサク」と名乗る冴えない中年男性
微罪で引っ張られた警察署の取調室で「霊感」と称して
爆発物を仕掛けたことをにおわせる
実際に秋葉原で爆発が起こり警察もタゴサクを捨て置けなくなる
卑下している割には頭の回転が速く取調官を翻弄(愚弄)する
馬鹿丁寧な話し方が読んでるこちらまでイライラさせられる
本当に取調をしていたら相手するのが大変だろう
次の爆発の場所と時間をクイズ形式でヒントを出す、、
このクイズのやり取り、最初はダラダラしてつまらなかったが
取調官を類家という特殊犯係の若い男性に交代してから
(取調官がタゴサクの罠にはまりおかしくなったので、取調室にいるメンバー以外は知らない内緒の交代)
クイズという名の心理戦が軽快に展開されていく
この類家というキャラクター
小柄で体に合わないサイズのジャケットを着た
天然パーマで丸眼鏡という設定
なぜかこの手の刑事らしくない視点を持つ警察官に
こういう見た目の設定を宛がわれることが多いような気がする
類家登場から心理戦のペースが速くなる
登場人物が多く、この人がどこでどのように絡んでくるのか
何となくこの設定だとこの人が怪しい、、ところまではわかるけど
タゴサクの『九つの尻尾』というクイズは深すぎてわからなかった
類家の解説(読み解き)でやっとしっくり来た
最終的にタゴサクは他人の立てた爆破計画を乗っ取り主犯を演じていた
それもかなり計画的に用意周到に
これだけ多くの爆破事件を起こし、死者・負傷者を出したら
まず極刑になるだろうに
それでも「俺の犯罪」にしたい理由がよくわからない
本人曰くずっと馬鹿にされ続け、誰からもまともに相手にされず
幸せどころか普通にすら遠く
ホームレスにまでなった『無敵の人』
最後の最後で劇場型の大犯罪者になることで挽回できるのだろうか
本当にこれがタゴサクの目的なのだろうか
『爆弾2法廷占拠』が発刊されている
こちらでも類家も登場するらしいので
ぜひ紐解いて欲しい
この夏の楽しみが増えた
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