砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

黒猫と白猫

2005年11月24日 | ログ

君は娯楽を探し出す才能がないねと黒猫は言った。

貴方は現実を見る才能がありませんねと白猫は言った。

二人の主は笑って言った。

君達は天秤を整える才能がないね。

二匹の猫は揃って言った。

凡庸に正しいくらいなら傾き間違い死んでいくと。

Ⅰ 僕は人間ではありません

2005年11月24日 | ログ
Ⅰ 僕は人間ではありません

世界の構成要素に関しては無知である僕だが
人生の基本骨子に関しての考察には些かの自負がある。

それはゲームだ。
荒唐無稽に広大で全貌余す事無く知りうる存在は神すらおらずとも
あらゆる人生は「選択」と「行動」で出来ている。
ロールプレイングの登場人物は会話の際に一定の内容のみを繰り返す。
現実では同一のキャラクタであっても解答する際に無限の可能性を内包する。
だが、可能性は可能性に過ぎない。
「おはよう」と言う問いに対し大部分のシステムは「おはよう」と返す。
行動の際に常に「揺らぐ」ことはあっても所詮それは「揺らぎ」であって
最終的に落ち着く先というものは「パターン」でしかない。

さて。
ここに一人の殺人鬼がいる。
人間ではない。人間としての生も名も基本的人権も与えられているが人間ではない。
何故か。
「鬼」だからだ。
怪物を殺すのはいつだって人間だ。
同様に。
人間を殺すものはいつだって怪物の仕業でなければいけないのだ。
だから人間を名乗らない。
名前を聞かれれば「堂島晃一」と名乗るだろうし
生年月日を聞かれれば「3月10日」と答えよう。
だが「貴方は人間か」という問いに対しては。
それが自分に対する死刑宣告であったとしても笑ってこう答えるだろう。


いいえ。僕は人間ではありません。