ある時有名な税理士の家に悪魔がやってきた。
怯える税理士を手で制して悪魔はこう懇願した。
「そんなに怯えないで下さい先生。私はただ先生の知恵を借りにきただけなのです」
「私のだって?見ての通りの税理士家業、聖職者や悪魔崇拝者の知り合いもいないよ」
「そう、まさに税金の事であなたにご相談がしたいのですよ先生」
悪魔の心底困った様子に税理士も好奇心をそそらせる。
「むぅ・・・・私に悪魔の問題を解決できるとは思えないが、まぁ話ぐらいは聞きましょう」
「はい。私達悪魔は年に一度、地獄の王様に対して税金を払う義務があるのです」
「税金だって?悪魔の世界にも税金があるのかい?」
「えぇ、しかし払うのはお金ではありません。私どもが日々努力して貯めてきた不幸の何割かを収めるのです」
話によると悪魔は人を騙したりすることで世の中に不幸を撒き散らしそれを回収して食べるらしい。
「しかし今年から税率が上がり、来月には子供も生まれます。
普通に税金を納めてはどうにも生活が出来ません」
「なるほど、それで私の力を借りたいと」
何であれ税金ならばこの男の専門分野だ。すぐにこの哀れな悪魔に対して名案を授けた。
「いいかい。君は今から人に親切をするんだ」
「何と、悪魔が人に親切ですって!?」
「話は最後まで聞きなさい。いいかい、人間の世界ではわざと支出を増やすことで資産の金額を減らし税金を少なく払う方法がある。
不幸の対極は幸福。
人に親切にすれば支出が増えたと判断されて差し出す税金の金額も減るはずだ」
悪魔はこの悪魔のような提案にいたく感激した。
「おぉ、流石は先生。この方法を使えば無事に年を越せそうです」
悪魔は税理士に対して何度もお礼を言ってから地獄へと戻っていった。
税理士はこの奇妙な経験をそれなりに楽しみ、そうして数週間が過ぎた。
再び悪魔はやってきた。
「まさか二度も悪魔の来訪を受けるとは思わなかったよ。まさか私の方法に問題があったのかい?」
「いいえ、今日は幸福を届けにやってきました」
税理士に知恵を借りた後悪魔は一度は喜んだものの次には途方にくれた。
何しろ人に意地悪して何ぼの商売だ。
親切のやり方など聞いたこともない。
「なるほどこれは盲点だった。それじゃあ計画は失敗したのかい?」
「それが先生の教えてくれた方法は随分昔から存在したらしいんです。
私は今年からこの税金対策クラブのメンバーになりました」
「それはおめでとう。クラブの名前は何て言うんだい?」
「それは先生もご存知だと思いますよ。一年に一度だけ子供達にプレゼントを与える仕事です。
それではメリークリスマス先生。
何せ一年分の不幸に匹敵する量の幸せを一晩で配らないといけないのでとても忙しいのですよ」
怯える税理士を手で制して悪魔はこう懇願した。
「そんなに怯えないで下さい先生。私はただ先生の知恵を借りにきただけなのです」
「私のだって?見ての通りの税理士家業、聖職者や悪魔崇拝者の知り合いもいないよ」
「そう、まさに税金の事であなたにご相談がしたいのですよ先生」
悪魔の心底困った様子に税理士も好奇心をそそらせる。
「むぅ・・・・私に悪魔の問題を解決できるとは思えないが、まぁ話ぐらいは聞きましょう」
「はい。私達悪魔は年に一度、地獄の王様に対して税金を払う義務があるのです」
「税金だって?悪魔の世界にも税金があるのかい?」
「えぇ、しかし払うのはお金ではありません。私どもが日々努力して貯めてきた不幸の何割かを収めるのです」
話によると悪魔は人を騙したりすることで世の中に不幸を撒き散らしそれを回収して食べるらしい。
「しかし今年から税率が上がり、来月には子供も生まれます。
普通に税金を納めてはどうにも生活が出来ません」
「なるほど、それで私の力を借りたいと」
何であれ税金ならばこの男の専門分野だ。すぐにこの哀れな悪魔に対して名案を授けた。
「いいかい。君は今から人に親切をするんだ」
「何と、悪魔が人に親切ですって!?」
「話は最後まで聞きなさい。いいかい、人間の世界ではわざと支出を増やすことで資産の金額を減らし税金を少なく払う方法がある。
不幸の対極は幸福。
人に親切にすれば支出が増えたと判断されて差し出す税金の金額も減るはずだ」
悪魔はこの悪魔のような提案にいたく感激した。
「おぉ、流石は先生。この方法を使えば無事に年を越せそうです」
悪魔は税理士に対して何度もお礼を言ってから地獄へと戻っていった。
税理士はこの奇妙な経験をそれなりに楽しみ、そうして数週間が過ぎた。
再び悪魔はやってきた。
「まさか二度も悪魔の来訪を受けるとは思わなかったよ。まさか私の方法に問題があったのかい?」
「いいえ、今日は幸福を届けにやってきました」
税理士に知恵を借りた後悪魔は一度は喜んだものの次には途方にくれた。
何しろ人に意地悪して何ぼの商売だ。
親切のやり方など聞いたこともない。
「なるほどこれは盲点だった。それじゃあ計画は失敗したのかい?」
「それが先生の教えてくれた方法は随分昔から存在したらしいんです。
私は今年からこの税金対策クラブのメンバーになりました」
「それはおめでとう。クラブの名前は何て言うんだい?」
「それは先生もご存知だと思いますよ。一年に一度だけ子供達にプレゼントを与える仕事です。
それではメリークリスマス先生。
何せ一年分の不幸に匹敵する量の幸せを一晩で配らないといけないのでとても忙しいのですよ」