著者魚住氏の渾身の一冊、「出版と権力 講談社と野間家の一一〇年」を読みました。
途中で何度も読むのを止めました、創設者の野間清治への共感が何も湧いてこないのです。
彼は単に出版で金儲けがしたいのが、第一番であり、そのためには既成概念を打ち破り、
とにかく大衆に受けて売れれば何でもよいとの観点から「おもしろくてためになる!」事を柯が下ています。
現在の講談社のホームページのトップにも同様の事が書いています。
本の中で彼が最初に沖縄に赴任するのは給料が一番からです、全てにおいてお金が儲かる仕組みを考えています。
そして出版で儲けることが出来たので、この道に進んでいきます。
そして彼は人を操ることに長けています、これは青年を雇用する時に「大学に行かなくても偉くなれる!」
と感化して、洗脳して、自分の意図を率先して行くものを重宝して、競争させていきます。
この時に感じたのはオウム真理教の浅原彰晃とダブりました。
こんなポリシーのない出版社ですから戦時中には軍部のプロパガンダとなり、自社に有利にして儲けて行きます。
その資産がどれほど膨大であるかは本の中にも書かれています。
野間家の中で、四代目の省一(しょういち)が唯一の救いであると思いました。
それは彼が自社の事だけではなく、出版業界全てにおいてこれからのあり方を説いたのではないかと思います。
しかし、今の講談社は前に戻っているようです。
自分と講談社はでの接点は雑誌少年マガジンを読んでいた記憶があります。
それ以外の雑誌は記憶にありません、
特に自分はサブカルチャーの世界にいるので、ベストセラーとかに縁がありません。
自分は50年以上購読して月刊雑誌は専門書して特化しています、決して儲かっていないと思いますが、
読者に伝えたいポリシーがあるので続いていると思います。
そしてこの本の題名である「出版と権力」とは時の政権は大衆の動向を気にします、
大衆受けする出版社をコントロールできれば、自分たちにとって有利に働きます。
これは戦時中の軍部が取った弾圧と今世界で起こっている言論統制が重なります。