新聞での紹介記事を読んで久々、絶対に観たいと思い、先月、長女の病院へ検査結果を聞きにいく時間に合わせて観ることができました。
http://oranges-movie.com/
ケンローチの息子ジムローチの初劇場用作品だそうです。
原作はマーガレット・ハンフリーズ Margaret Humphreys
回想録 「からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち」
上映は、名古屋の新栄近くの「名演小劇場」
名前はちらりと聞いたことがあるけどいったことがない。
でも自分の勘が、「いかなきゃ」といっている。
本当は朝、名駅まで行って、久々ショッピングしてからなんて思ったけど、いい時間になってしまった。
場所が不安なので早めに行ったのですが、な~~んだ、めちゃわかりやすい。
テレビ塔の前の大通りをオアシス広場や、芸術文化大ホールなどをみて東に進み、東海TVを過ぎ、すぐでした。
テレビ塔は久屋大通の緑の中心にあって、銀色に輝いて本当に美しいと思いました。東京タワーより古く建てられたタワーです。
開演前に小さな和食の店でランチをいただいた。安いのに美味しかった。
早めに行ってチケットを。
「シニアは顔パスでいいでしょうか?」
きれいで品のいいお姉さんが「クスっ」
「一応見せていただけたら」
ここはシニアでも1200円です。
たった一人で切り盛りしていて大変そう。ミニシアターは経営は難しいでしょうね。
たった42席のミニシアター
それでもこの映画は、30人くらい入りました。
二階にも一室あります。
タイトルの意味は
イギリス政府が孤児院からオーストラリアへ送り込んだ児童移民13万人の子ども達が、「親は死んだ。あきらめろ。オーストラリアに行けば太陽が輝き(イギリスは雨が多くて暗い)オレンジが毎日食べられる」と政府の役人にだまされて船に乗ったということから。
養子として暮らす人たちのカウンセリングにオブザーバーで出席しているソーシャルワーカーの女性マーガレットが、その会の帰りに、見知らぬ豪州から来た女性に「私が誰か教えて!!」とすがられたところから物語がスタートします。
夫の理解と協力の下に、イギリスと豪州を往復しながら、多くの元少年たちのおぞましくむごい過去をたどり家族を見つけていきます。
これは史実で、今現在もまだこのハンフリーズ夫妻は子ども達の「私は誰?」という問いに答えるべく活動をしているそうです。
たった一人の女性が、どんなバッシングにも負けず、自分の心が折れそうになりながらも、心が傷まみれの元子ども達と絆を結んでいく様子は知らずに涙がこぼれました。
この映画は、またある側面、女性が全力で働くというこはどういうことかということもみせてくれる映画だと思いました。
そして、マーガレットが働けるのは夫が、彼だったからだと思う。素晴らしきカップル!
普通なら、「いい加減にしないか!子どもと仕事とどっちが大事だ」と怒鳴る場面が出てきそう・・・
オーストラリアでのクリスマスに夫と二人の子ども達が来て、元子ども達とパーティをする。
マーガレットの息子にプレゼントを渡した女性が「あなたのプレゼントはないの?」と言う
「ママをプレゼントした」
この一言にやられました。
彼ら孤児たちを救うために、彼女の子ども達は、母のいない孤児のような孤独を味わっていたのでしょう。
でも、彼女の奔走で母と娘が再び出会え抱きしめあう、そんな場面を見ているうちに、母のやっていることの偉大さを少し理解せざるを得なかったのではないでしょうか。
イギリス政府と豪州政府が、正式に認めて謝罪したのは、最後の児童移民から23年目だったそうです。
「誰も知ろうとしなかった」史実をたった一人で掘り起こしたすごい人です。
日本人も政府の後押しで、戦前に中南米に渡って苦難の道を歩んだ多くの移民がいます。
そんなことにも思いを馳せました。
子ども達は大人になっても心は子どものまま。自分が誰か、自分に母がいたのか、埋めることができない穴がぽっかり空いているのです。
探し当てた母親が去年亡くなっていたことがわかりそれを聞いて、「あと少し早かったら・・」と泣き崩れる男性の姿に北朝鮮に拉致されためぐみさんとご両親のことを思いました。
このマーガレット役の女優を見たとき、どこかでこの目を見たと思いました。
「レッドドラゴン」の時の目の見えない女性の役をやった女優だった!
映画は好きだけど、カタカナはなかなか覚えられない私です。
このあと「別離」「風にそよぐ草」「ルートアイリッシュ」(この映画の監督のお父さんであるケン・ローチの監督)がよさそうだなって思いました。
近くにミニシアター欲しい~~。
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