神さまの安否確認
1 過剰(かじょう)なもの
充電をしすぎると
ー厳(おごそ)かな宣告
電池の寿命がかえって縮まります
妻はあわてて
充電器からスマホをはずす
昨夜 床につくときから充電のしっぱなし
安心のために蓄えていたのに
ー厳かな告白
かえっていのちを削(けず)っていた なんて!
2 あずける
病んだひとは 坂を
ひとりではのぼらない
ひとりではのぼれない
そうおもっていた
─ある日
坂をのぼっていく
病人をみた
幼な子のように背負われて
自分というものをすっかりあずけて
ニコニコのぼっていく
そんな素敵なひとをみた
3 吹き抜けの天
吹き抜けの天井(てんじょう)は
明るく風のとおりもいい
なにより
ひとのこころが透きとおります
―家のそんなコマーシャルをみた
灯(ともしび)が薄らいできたような
空気もよどんできたような
なにより
こころが人から出ていって
「人型(ひとがた)」だけがうごめいているような
そんなうしろめたい世界
吹き抜けの天は
こんなに蒼くて澄みきっているのです
なにより
あなたがたの冷たい眼に優しいやさしい光がさすのです
―神さまのそんな声がききたい な
4 安否確認
風呂に浸(つ)かっていると
カミサマがのぞきにくる
だいじょうぶ?
などと声をかけてくる
よく見ると
カミサンである
このまえ心臓がひと騒ぎしたので
安否確認なのである
ほんとうのカミサマは
いつだって
どこでだって
安否確認なさってくれているんだが
●ご訪問ありがとうございます。
愛と愛かさなりあってひとは生き
義と義とがぶつかりあってひとが死に
考えにくいことですが、ウクライナを侵略し、市民をなぶり殺しにするロシアにも「正義」があるのです。愛は国境を越えますが、「正義」は壁を作ることもあるのだということを、この惨劇が伝えています。
人間の存在について、深く考えさせられています。