今日は、タイプは違うけどポップス職人のアルバム3枚の感想です。
まず、堂島孝平の『SMILES』。今までに比べて非常にヴァリエーション豊かなアルバムだという気がします。
繊細なだけでなく、力強いヴォーカルも魅力的。ちょいハード目のテイストもある曲が何曲かありますが、根底に流れるのはフックの効いたキャッチーなメロディ。15曲のヴォリュームがスルッと聴けます。参加ミュージシャンも豪華極まりない。1曲目の「スマイリン ブギ」なんか“前田憲男ビッグバンド”を従えてのアッパーブギ。バンドメンバーには数原晋さんや羽毛田耕士、つづらのあつし、Fred Simmons、平原まこと(平原綾香のとーちゃん!)などが参加。他にも、スクービードゥーのマツキタイジロウやエルマロのアイゴン、GREAT3の高桑圭、スカパラのメンバーやコーラスには真城めぐみに土岐麻子・・・ゴージャスにもホドがあるな(笑)
「アーリーモーニング」や「それは一瞬の出来事だった」「こんがらがった夜のムード」(この曲のイントロのギターカッティングとコーラス、パーカッションの絡みは最強にドライヴィン!!)など、魅力的なサビを持った曲が後半に畳み掛ける様に出てきます。ホントに気持ちよすぎるね、コレ。
次に冨田ラボの『Shiplaunching』。全10曲中ヴォーカルナンバーは7曲。フューチャリングヴォーカルは、高橋幸宏&大貫妙子、SOULHEAD、ママレイドラグの田中拡邦、CHEMISTRY、山本領平、YOSHIKA、そして冨田恵一自身!。若手からベテランまで味のある声のヒトが揃ってる。そして、作詞陣も豪華。キリンジの堀込高樹、吉田美奈子、高橋幸宏、糸井重里、鈴木慶一、大貫妙子、高野寛ときたもんだ(笑)。しかし何より魅力的なのはアレンジの素晴らしさ。特にホーンとストリングスが絶品なんだね。ホーン奏者は山本拓夫さん大活躍です(笑)。6曲に参加してますけど、テナーからフルートからアルトフルート、バスクラリネットとマルチリードプレイヤーの面目躍如(言葉として正しいのか?笑)です。メロウでやらかい雰囲気漂うアルバムになったのは、拓夫さんの功績大だと思うんですよね。
デモを自宅で一人で作り、それを腕っこきのミュージシャンに演奏させ、更にイイものに昇華させる。正にマイスターの名に相応しい職人っぷりだと思います、ハイ。
最後にberetの『best best beret!!』です。文字通り、彼らの音楽の集大成としてのベスト盤。改めて聴いてみると、ホントに美味しいポップスのエッセンスが詰まってる。ラテン系の音を基調にしながらも、ソレだけで終わらない“何か”を内包するサウンドが魅力です。マニアックなコトをやりながら、ポップスとしての汎用性を兼ね備えた音楽って、実はそんなに無い。ベレイは、ソレを体現できたユニットだった様に思える。解散は、実に残念なコトだけど、こんなにイイ作品を残してくれたコトに感謝。
ゲストとして、オレンジペコーやSaigenji、フィロ・マシャード、BOOなんかが参加している。いいコラボを聴かせてくれてます。
「ここに居る理由」は、ガールズグループなんか歌ったらハマるだろうなぁ。素晴らしいメロディのミドルグルーヴ。ピアノのバッキングが大好きです。「ベストガールフレンド」はラテンテイストのアッパーとしては個人的にベストに近い。畳み掛けるサビの展開が実に好み。「やさしい花びら」なんかもサビをユニゾンで歌ったら気持ち良さそうだなぁ。ラテンっぽさは殆ど無くて、ホントにアイドルポップスに近いミドルチューン。
こんな風に、振り幅の広い音作りをし、尚且つマニアックなサウンドメイクの中に普遍性を持たせる・・・サウンドメイカー奥原貢という人のポップマイスターとしての資質が良く解るアルバムだと、私は思うんですけどね。