今日は、たまたま近い時期に女性ヴォーカルによるカヴァーアルバムを2枚買ったので、一緒にレヴューしちゃいましょう(笑)
JUJU
『Request』
2010/9/29リリース
ソニーミュージックアソシエイテッド
AICL 2178
コトリンゴ
『picnic album 1』
2010/9/22リリース
エイベックスマーケティング
RZCM 46608
対照的なカヴァーアルバムだなぁ・・・・と思いました(笑)
JUJUは、元々カヴァーライヴを定期的にやってて、そのなかでリクエストが多くなってきたコトに加え、CMソングに使われたマイラヴァのカヴァーが話題になったことから、カヴァーアルバムを、という話になったらしい。
最初は自身が歌いたい曲ってのもセレクトしてみたらしいが、結局のところファンのリクエストで曲を選んだとのこと。
しかし、彼女が最初に自分で歌いたいと思った曲は全然入ってないとテレビで言っていた(苦笑)
そりゃそうだろうな~
この選曲、ファンがJUJUに求める要素の最大公約数的なセレクションだもん。
ある程度の知名度があるスロウナンバーばかり。多少、彼女らしいとすればボニー・ピンクの「Last Kiss」くらいか?
それでも買ったのは、アレンジャーが豪華だったから。亀田誠治、松浦晃久、島田昌典、坂本昌之、Jin Nakamura、武部聡志、CHOKKAKUといった豪華布陣。
誰しもが知るヒットチューンを、どんな風に料理するのかという一点が興味の対象だったわけですが・・・・・・・普通でした(苦笑)
まぁ、コンセプトから考えて、冒険はできないとは思いましたけど、生真面目過ぎるな。
彼女のオリジナル作品の中で、初期のアッパーなどにグルーヴがちゃんとあるんです。結構知名度も上がったんだから、ココで冒険ってのもアリだろ?って思っちゃう。
彼女が歌いたい曲を、彼女が本来持ってるグルーヴテイストでアレンジしたのが聴きたい。
だって、このカヴァーアルバムにJUJUでなきゃいけない理由が無い。
でも、売れるだろうなって思った。事実、チャート1位を取るくらい売れた。
これが、大衆の望むモノなのだとしたら、こんな音が増えるのも致しかたない。
この利益で、マイナーなアーティストが食える様にして欲しいものだと思うのです(爆)
さて、一方のコトリンゴ。
こちらは、実に私好みの作品になりました。
フリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」、クラムボンの「シカゴ」、YMOの「以心電信」、ユーミンの「ノーサイド」、EPOの「う、ふ、ふ、ふ、」、フォークルの「悲しくてやりきれない」、スピッツの「渚」、そして斎藤由貴の「AXIA~かなしいことり~」(!)という8曲を、セルフプロデュース&セルフアレンジで仕上げています。
ドラムでASA-CHANGや、ギターで高野寛が参加したりしてますが、基本的に彼女がピアノやシンセやウーリッツァーを弾くスタイルのコンパクトな編成での演奏です。
音数はそんなに多くなく、ゴージャスな感じはしない。ヴォーカルもウィスパー。テンポもオリジナルより落とし気味。決してグルーヴィではなく、むしろ癒し系。
それでも、このアルバムは好きだ。
普段、アッパーグルーヴ好きでバラッド嫌いを公言する私でも、このアルバムは受け入れる。
このカヴァーには、曲に対する愛情と敬意がありつつ、オリジナルとは違う彼女の意匠が大胆かつ繊細に反映している。カヴァーとしての意味があって、彼女が作る必然があって、作品として楽しめる。カヴァーって、こーいうモンだろ!って言えるアルバム。
「AXIA」なんて、ホントに素晴らしい。何度聴いても胸の辺りがキュッってする。
でも・・・・売れない。258位だって(苦笑)
これが現実だとすれば、優れた音楽を失うのは聴き手である大衆の責任だと思わざるを得ないな・・・・