今年も残り半月少々。2015年も素晴らしい音楽との出会いが沢山ありました。
今年の総括はもうちょっと後に回すとして、とりあえず年間マイベストの一角を担うであろう1枚の感想を書こうかなと。
『A Day in Dystopia』
2015/11/25リリース
BRIDGE RECORDS & AGENCY
mellow tones label
MORI 0003
個人的には日本でも有数の“グルーヴギターヒーロー”である森広隆くんがアルバムをリリースしました。
初期シングル曲の「ゼロ地点」に衝撃を受け、ファーストアルバム『並立概念』に収められた「ISN'T SHE LOVELY」(スティーヴィー・ワンダー)のカヴァーに娘が涙したのが、もう12~3年前。シングル「RAINBOW SEEKER」は、個人的“21世紀のJ-POPベスト10”にセレクトする名曲。そのポテンシャルの高さは太鼓判を押せる森くんですが、このアルバムは彼のキャリアの中でも最高傑作なんじゃないかと思える作品です。
何よりも曲が粒揃い。全10曲、全く無駄のない構成と展開。グルーヴィでありながら夜のBGMとしても邪魔にならない心地良さを湛え、ハイトーンの歌声には色気も漂う。
基本的に生音中心で、詰め込み過ぎてないのに音の圧力があるのが良いんです。ベースやドラムの音が実に響いていて身体が横に揺れる。
3曲目と10曲目は彼の打ち込みとギターだけとのことですが、「メトロポリタンズファンク」はちゃんと隙間を大事にしててグルーヴを生み出してます。彼のカッティングの気持ち良さが堪能できる。「ユートピア」の優しく緩い揺らぎも染みる。
他の8曲は森くんのギターと種子田健のベース&佐野康夫のドラムが基本で、曲によって安部潤や河内肇の鍵盤が乗っかるスタイル。シンプルな4Rhythmが生み出すグルーヴに酔いしれられる素晴らしい演奏です。
個人的におススメの曲は、イントロのギターからもうカッコ良くて、安部潤の鍵盤が彩りを添えるグルーヴファンク「ネオフィリア」。
疾走感あるアッパーチューン「2D Star」。
重ためのリズムが響くスロウグルーヴでCメロが素晴らしすぎる「憂欝」。
ギターが唸るハードロック「Rabbit Hole」。
シティポップテイストとグルーヴが融合した「Avalanche」といった辺り。
というか、全部良いです(笑)買って損なしの1枚だと断言します。
昨今、一部で盛り上がりを見せるシティグルーヴシーンの初期を担っていたのは紛れも無く森広隆くんだと思うのです。その力が如何無く発揮されたアルバムです。試聴できるものが見当たらなかったのですが、とりあえず買って聴いてみて欲しい。彼の様な音楽がきちんと評価され、シーンの中核にいてくれたらいいなぁと願うばかりです。
《追記》アルバムのトレーラーがアップされましたので載せておきます。是非、聴いてみてください(H28.2.13)