先週のオリジナルラブ「ラヴァーマン」の記事、ページビューが1000を超えましてgooブログに引っ越してからのレヴューでは最高値となりました。ご覧頂いた方々に感謝すると共に、楽曲のパワーを感じさせられました。制作中とされるニューアルバムへの期待がますます高まります。
さて、本日は常に心に留まり心を刺激する作品を送り出すグループのコチラ。
『こんにちは、はじまり。』
2015/2/4リリース
レーベル:fuwari studio/SPACE SHOWER MUSIC
ディストリビューター:SPACE SHOWER NETWORKS
DDCZ-2005
実にインパクトのあるジャケットですが、収められている曲は空気公団らしい世界観に溢れた心に楔を打つものばかりです。
その魅力は何とも言葉にし難い。もう10年以上彼らの音楽を聴いていますが、いつまで経ってもハッキリとロジカルに説明できない。でも、気持ちは惹かれてしまう。そして何年経っても鮮度を保ち続ける。
オープニングは初期空気公団でドラムを叩き、曽我部恵一バンドなどで活躍するオータコージを迎えての「伝う」。窪田渡さんのピアノが印象的な3分に満たない曲ですが、山崎ゆかり嬢の柔らかくもピンと張りつめたヴォーカルが心にスッと入り込むリリカルな1曲。
続けて聴こえてくるのは、ベースの戸川由幸氏が“空気公団史上、最も歪んだギターかもしれない”と言う「はじまり」。金沢のロックデュオユニット:NINGEN OKのギター:ヤマシタタクロウと、ドラム:サカグチケンイチが参加し、空気公団の世界に新しい魅力を加えています。戸川氏のベースも実に気持ち良く歌っているし窪田氏の鍵盤もドライヴしてる。
3曲目「苦い珈琲の言い分」はもう、タイトルから大好きで。素晴らしく抒情的な窪田氏のピアノ、ROVOや想い出波止場でお馴染みの山本精一が弾く個性豊かなギター、山口とも氏のメリハリの効いたドラム、シンプルな詩を情感豊かに歌う山崎ゆかり嬢の声、全てが絡まり繋がって世界を作る。大好きです、この曲。
ピアノインストと詩の朗読による不思議な世界を見せる「声の梯子」を挟んで5曲目「連続」へ。この曲は空気公団3人にドラムのオータコージ、tico moonの影山敏彦(アコースティックギター、バンジョー)と吉野友加(ハープ)を加えた編成によるリリカルなミドルチューン。空気公団らしい柔らかさが際立つ。
そして、このアルバムで一番好きな「新しい窓」へ。ベースの戸川由幸さんが曲を書き、窪田渡さんのアレンジが最高に私好みなアップチューン。イントロのドラムとオルガンの音色からノックアウトされたのですが、ノーナリーヴス:奥田健介氏のギターが最高に気持ち良くて堪らないんです、もう。特にラストのギターソロ、3分45秒辺りから鳥肌立ちます。
たて続けに飛び出す7曲目「なくしたものとは」も奥田氏のギターがイイ仕事してます。窪田氏のオルガンも心地良くて3分弱がアッという間に過ぎていく。
窪田氏の作曲及び演奏によるインスト「手紙が書きたい」はエッジィなギターをフィーチャ―した静と動が共存する空気公団らしい世界を堪能できる曲。磨き過ぎずに所々にチクチクする棘を残した研磨の様な。
「毎日が過ぎても」にはチャンチキトルネェドの鈴木広志氏がサックスで参加。ゆかり嬢の声とサックスの音色が交互に歌う様な気分にさせられる。そこに絡むオルガンのフレーズがまた心地良い。
ラストにはゆかり嬢の出身地、青森県岩木山の登山囃子「お山参詣登山囃子」をカヴァーしているのだが、この曲の神々しさがこのアルバムの凄さを語っている様な気がしてならない。江上瑠羽の和太鼓やチャッパ、山本精一氏のギターやヴォーカル、オータコージのドラム、そして空気公団3人の歌と演奏、全てが耳だけじゃなく頭の後ろやら胸の辺りやら頭上やら、色んな所で音を鳴らす。聴けば聴くほど、心というか気持ちに入り込んで色んなモノを掻き回していく。
空気公団のアルバムを聴くと、柔らかくて気持ちいい部分と尖って引っ掛かるエッジの立った部分が絶妙にブレンドされているなぁと思うんだけど、今回はそれが増幅している気がする。
心地良いのに、心がゾワゾワする(笑)
結果、ものすごく印象に残る作品になってる。今回も素晴らしいです。
あと、楽器の音がものすごく耳に残る。これは中村宗一郎氏のミックス&マスタリングの力なのかな。できたら、もっとイイ機材で聴いてみたいです(苦笑)