前回、書けない書けないと悩んでいた“お皿”が、
この『銀の子馬』です。
世界一愛するバンド“モダーン今夜”のヴォーカリスト&ソングライター、永山マキちゃんのソロデビューアルバムなんですが、私の拙い筆では表現しきれない、と尻込みしていたんです。
それくらい深い。間口は広いのに奥がとんでもなく深い・・・・
まぁ、いつまでも後回しにもできませんし、書けるところまで書いてみます(笑)
まず、このアルバム・・・・気持ちイイんです。
聴いてると、ホントに“ふわー”って夢心地になっちゃう。モダーンに比べて、楽器が少なくてシンプルなバッキングの分だけ、マキちゃんの声の暖かさがダイレクトに訴えかける。
それから、聴いてて感じるのは『景色が見える歌』なんだなぁ・・ってコト。
元々、「歌詞よりサウンド」の人なんです、私。でも、そんな私でも聴いてて色んな景色がココロの中に浮かんでくる。
言葉のチョイスが、具象であっても抽象であっても変わるコトなく目の前に広がる風景。そして感じるあらゆる感情の渦。
それは、永山マキというソングライターが紡ぎだす作品の力。そして、永山マキという歌うたいの力なのだなぁ、と思うのです。
1曲目の「銀の子馬」と2曲目の「大犬のアルファ」は、今作でも音数の多い方の曲ですが、実にスッキリと仕上がっています。
どちらの曲も、リズム隊はリトルクリーチャーズの鈴木正人さんと栗原務さん。
「銀の子馬」の歌う様なドラムも「大犬のアルファ」での優しい優しいパーカッションも素晴らしいです。
それから、共通して印象的なのは、“やらかい”荒木真さんのソプラノサックス♪
「スイミーは水の中」は、アンビエント系の打ち込みと神々しいヴォーカルが織り成す幻想的な一曲。矢野顕子を彷彿とさせるナンバーかと思います。
「グランドウォーカー」は、シンプルなギタートリオのバッキングが『粋』でJazzy。ラストのスキャットもオシャレです。
「reflection of your flowers」はサックスの荒木真さんの作品。ヴォーカリスト:永山マキの凄みを堪能できるカヴァー。歌ってない部分までも歌っているような錯覚に襲われる存在感に驚く。
「ゆうやけこやけの鐘が鳴るころ」は、個人的にはベストトラック!
ヤバいです。聴く度に泣きそうになる。切なくて暖かくて強い。
ピアノ、メロディオン、ギターだけのシンプル且つ美しいバッキング。おおはた雄一さんのギターが郷愁を誘い、ノスタルジックなメロディオンの音色がトドメを刺す・・・
「デカルコマニー」・・・・ギター1本で歌われる、胸が締めつけられそうだけど暖かいスロウチューンで、このアルバムは幕を閉じます。
そして、また1曲目に戻って聴いてしまう・・・
何度聴いても、その度に新しい何かを感じる。
新しい何かを見つける。受け手の感情に合わせるかの様に、曲の方が印象を変える。
底知れぬ奥深さ。
魔性の名盤、ここに誕生・・・・