日本グルーヴチューン振興会

bonobos『23区』

前回レヴューしたゲントウキ久々のアルバムと同日にリリースされた作品を取り上げたいと思います。

 

どこかが似てるとか近いとか、そういう訳ではないけれど自分の中では向いてる方向が同じだなと感じる事があります。

 

 

 

bonobos

『23区』

 

2016/9/21リリース

P-VINE

PCD 18818

 

 

 

 

 

 

結成15周年を迎えるbonobos(ボノボ)が2年ぶりにリリースしたアルバムですが、コレが本当に素晴らしくて。

彼らのシングルやアルバムは何枚か持っていますし、シングルの感想をブログに書いた事もあるのですが、ここ数作はチェックできていませんでした。

メンバーが徐々に脱退して、インタヴューとか読むと解散も考えた事がある様です。

今回は新メンバーを迎えて5人のメンバーがその力をフルに発揮した傑作になっていると思います。

 

まず、ヴォーカルの蔡忠浩くんの歌がずっと変わらず、というかどんどん進化していってて浮遊感と力強さとグルーヴが同居する稀有な歌声が全編に亘って楽しめる。

ベースの森本夏子さんが弾き出す太くてブリブリしたグルーヴと、新加入の梅本浩亘くんが心地良くピンポイントでピシっとキメるドラムが紡ぐリズムのカッコ良さも最高。複雑なリズムパターンも気持ち良く身体に沁み渡らせる。

小池龍平くんのジャズ感溢れるギターは、アーバンで甘く煌びやかで時に孤独な都会のムードを見事に音像として見せてくれるし、田中佑司くんの鍵盤はドラム出身らしいパーカッシヴなプレイで楽しませてくれたり、洒落たコードワークが心地良い余裕を感じられたりで本当にバンドとしての一体感を感じます。

ホーンに武嶋聡や川崎太一朗、滝本尚史といったゲストを迎えたり、ラストの曲でストリングスを入れたりはしていますが、殆ど5人で作られた作品。打ち込みも最低限しか使っていない様に思います。

 

都会の音だなと感じるのですが、シティポップだとかアーバンソウルだとか括りの言葉でイメージを限定するのは勿体ない。

とにかく気持ち良い音楽という事でイイのかなと(笑)

貼り付けてる「Cruisin' Cruisin'」のMVを見ていただければ解ると思うのです。お洒落で心地良いだけでなく、ずっとブレずに自らの音を追求してきた地に足が付いた感じが漂っている。

個人的には「うつくしいひとたち」の楽しくも心に楔を打ち込む押し出しの強さが大好き。そこからラストの「23区」への流れが最高です。蕩けそうになる。

 

 

今年は本当に好きな作品がいっぱいあって嬉しい限り。こんな音楽がもっといっぱい日常に溢れていてくれたら、こんなに幸せな事はありません。


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