ポピーの花の咲く頃は 春は名のみの風の寒さよ 谷の鶯鳴かないけれど 隣のポチがないている ポピーの花の散る頃は 遠くトリノの氷上で 舞姫華麗に舞うたびに 薄い花びらはかなげに ハラハラ命を終えてゆく 枯れ行く姿もいとおしく 言葉にならない花びらの 声なき声を聞きながら 新たな季節の静かな予感 終わる事は始まる事
引越し間近のKさんが 果物かかえてやってきた 「随分大きいね」 「お化けレモンて呼んでるんだけれど ほら この辺の形はレモンでしょ」 いえいえどこか遠くの西洋の高貴なお方のお名前が ついていたかもしれません はるか昔に旅に出て 数奇な定めに流されて アジアの東のこの島に 根っこをはやしてきたのかも ところが地主のお旅立ち レモンの館を取り壊し 花の咲く木々処分して お化けレモンも引き倒し 兄弟4人で分けるとか 「中身はたいした事ないのよ 白い綿みたいなものがいっぱいでね」 ちょっとさげすむように言ったけれど 黄色いでこぼこ実の中に 抱えきれない思い出と 語りきれないさよならを 詰め込んだのに違いない Kさんどうもありがとう お化けレモンをありがとう
花子さんは私よりあとから生まれてきて 先になくなりました 「さよなら また来るからね」 病院に何度もかけつけて その度にさよならをしました でも今日は本当のさよならの日 太郎さんも最後の涙を流しました 新品の墓標は 桜色にきらきら耀いて そこに二月の風が吹きました
田舎のばさまは癌だから 来年はもう会えないかも知れないね 着物着替えて帯締めて 扇を持って急ぎましょ ばさまの元へ急ぎましょ 泣いちゃいけない泣いちゃだめ 泣いたらお化粧くずれます 今年のばさまの雛祭り 最初で最後の雛まつり
本命は野外スケッチなんですが この冬はほとんどでかけませんでしたね
唯一昨年冬至の頃 仲間と上野へ行きました 不忍池のほとりに 二時間ほどいると すっかり体が冷え切ってしまいました この冬の記念すべき一枚です
唯一昨年冬至の頃 仲間と上野へ行きました 不忍池のほとりに 二時間ほどいると すっかり体が冷え切ってしまいました この冬の記念すべき一枚です