「もっとも、一番のごまかしはこうやって私が生きていること、そのものかも知れないわね。本来ならとっくに死んでいるはずの病気なのに、私の身体は、どうやってごまかしているのかしら?」
今日のライトノベルは富士見ミステリー文庫から発売されていた「しずるさんと偏屈な死者たち」です。
初版は2003年6月に発行されました。
この「しずるさんシリーズ」はひとまとめにしてもいいのですが、全部タイトルが違うので分けて取り上げようかと思います。
2003年6月に出たということで、シリーズの1巻目は富士見ミステリーの初期装丁です。
「しずるさんシリーズ」もジャンルとしてはミステリー、中でも「安楽椅子探偵」と呼ばれるタイプです。
これは探偵役のキャラがその場から動かず、助手や警察、新聞記者などのキャラからもたらされる情報だけで謎を解きます。
本作の探偵にあたる「しずるさん」も、病院のベッドで寝たきりであり、友人の「よーちゃん」からの情報で推理しますね。
富士見ミステリーでは珍しいことに、ちゃんとミステリーしています。
何を言っているんだという感じですが、Fateでいうところの「アーチャーが弓を!?」みたいなものです。
富士見ミステリーって実は本格ミステリーってそんなにないんですよね…
「しずるさんシリーズ」は基本的に短編集になっており、偏屈な死者たちはかつてドラゴンマガジンの増刊号「ファンタジアバトルロイヤル」に掲載された4つの短編と、その各短編の合間にはりねずみチクタの冒険という、ちょっとした書き下ろし作品が載っています。
個人的には第二章の「しずるさんと宇宙怪物」がなんか印象に残っています。
たぶん当時は原子力電池と人口心臓にインパクトがあったんでしょうね( ・ω・)
著者は上遠野浩平氏。
「ブギーポップシリーズ」でお馴染みですね。
それまでは上遠野氏はSF系の色が強い作家というイメージでしたが、この作品でミステリーもいけるというのがわかった感じです。
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ちなみにこの「しずるさんシリーズ」は2013年に星海社文庫から新装版が発売されました。
そして、基本的には内容は同じですが、イラストレーターは椋本夏夜さんから国道12号さんに変わりました。
というか、シリーズの完結前に富士見ミステリーが廃刊になったので、5作目は星海社文庫しかありません。
このイラストレーター変更はけっこうショックでした。
やはり椋本夏夜さんのイラストでイメージが出来上がっていたし、個人的にも好きなイラストレーターなので…
国道12号さんになってだいぶ雰囲気は変わりましたね。
どうせなら、ジャンルは違うけど富士見書房繋がりでファンタジア文庫の方に移籍させて椋本さんのままで出して欲しかったな…(´・ω・`)
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