青葉城恋唄

仙台生まれ、仙台育ちの40代女性。
日々の生活で考えたことを記す雑記帳。

DVD鑑賞記録「晩春」「娘の結婚」

2008年08月30日 | えいが
「第一打席は選球ミス。次はクリーンヒット打ってやる」byアヤ

『晩春』1949年・日本
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧 小津安二郎
原作:広津和郎(「父と娘」より)
出演:笠智衆 原節子 月丘夢路 杉村春子

小津映画は意外と笑える。

「ここからだと、駅はどっちだい?」
「駅はあっちだよ」
「じゃあ東京はこっちかい?」
「東京は・・・こっちだよ」

なんていうやりとりを延々とやってるのがおかしくなる。
あとは服部さんと紀子のたくあんのやりとり。
あとは杉村春子。
姪にあたる紀子(原節子)の縁談がどうなったかやきもきしつつ、
境内でがま口を拾って「縁起がいいわ」なんて言って懐にしまう。
兄に「届けないのかい?」と言われて「ちゃんと届けますよ」
なんて言った矢先に警官が通ると逃げるように走って階段を上がってしまう。
思わず「届けないのかよ!」と突っ込んでしまった。

自分の縁談を持ちかけられた時には笑ってはぐらかしていた紀子が
父親の縁談に話が及ぶと急に険しい顔つきになり、つんけんする。
父親にもあからさまに冷たい態度を取り、睨みつけたりもする。
その表情の変わりようが怖いと思いつつ、うまいなと感心する。
本当にこの人は父が好きなんだなと感じる。

でもあの時代はどうだったか知らないけど
現代に置き換えて考えてみると娘の愛情は少々異常な感じがする。
父の知り合いが再婚したと知り、「不潔よ」なんて言っており、
父もそうした仲間に入るのかという嫌悪感だけではない気がする。
あの眼は女の嫉妬心の表現ではないのかな?

娘の結婚が決まって2人が京都旅行に行った夜、
部屋の電気を消すと入れ替わりに庭の草木が障子に浮かび上がる。
次に部屋の床の間に置かれている壺のショット。
これに「?」となったんだけど、いろいろと議論が交わされているようですね。
うーん、私が感じた「異常な感じ」というのはこれか?



『娘の結婚』2003年・日本
監督:市川崑
脚本:久里子亭
出演:長塚京三 鈴木京香 仲村トオル 緒川たまき

小津安二郎生誕100年を記念して作られた『晩春』のリメイク版。
映画ではなくドラマです。
見始めてから、以前に観たことがあることを思い出しました。
2003年のドラマでありながらちょっと古い感じのするドラマ。
やはり鈴木京香の怒り顔は原節子には及ばない。

小津版の脚本をベースにしながら現代に置き換えて変更しているので
少し無理な部分も多く感じられました。
現代が舞台で紀子(ドラマ版では規子)が
「でも私、お父さんのそばにずっと一緒にいたいのよ」
なんてセリフを吐いてしまったら、ちょっといやらしさが出てしまう。
それゆえに、親子の情愛とか、嫁ぐ娘の淋しさとか
一人残される父の淋しさが弱くなってしまったような。
ドラマ版ではラストシーンに、オリジナルではほとんど言及されなかった
妻(紀子の母親)に語りかける、という手法を取っているのも
父親の孤独を弱めてしまったんじゃないかな~と思いました。

やっぱりリメイクや続編はオリジナルを超えられないです。
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