自由と平和、生存と共生のために

「誰もが人間らしく生きられるためには」という視点から、さまざまな社会問題についての情報をお届けします。

映画「マイスモールランド」とクルド人難民

2022-05-02 22:08:51 | 共生・反差別
 映画「マイスモールランド」の主人公であるクルド人の少女サーリャ。家族と共に日本に逃れてきて、日本の高校に通っています。しかし、日本政府は一家を難民として認めません。在留資格がないために自由や未来を奪われてしまう不条理。それでも前向きに生きようとする彼女の姿を描いた作品です。主演は嵐莉菜、5月6日公開。

 中東地域で暮らしているクルド人は各国で差別され迫害され、戦乱に巻き込まれています。ようやく日本にたどりついてもほとんど難民として認定されていません。日本在住のクルド人難民を描いたドキュメンタリー映画「東京クルド」(日向史有監督)も昨年、公開されました。
 
映画「マイスモールランド」公式サイト

映画「東京クルド」公式サイト


水平社博物館(奈良県御所市)

2022-04-11 15:20:28 | 共生・反差別
 今年(2022年)は全国水平社創立100周年の年です。水平社の設立と活動は、差別された人びと自身が組織的な社会運動を展開したという点で世界史的な意義があります。

 先日、リニューアルされた水平社博物館を見学しました。この博物館では、部落解放運動の歴史的資料、関係者のインタビュー映像などを見学できます。また、基本的人権の理念の理解を助けるためのくふうも感じられました。小さな博物館ですが、部落問題の基本を学ぶことができます。
 博物館の向かい側には西光寺と「人権のふるさと公園」と西光寺があります。西光寺は水平社の創立にかかわった西光万吉の生家です。近隣に山田孝野次郎(やまだこのじろう;水水平社創立大会で少年代表として演説した)の記念碑もあります。

 今なお、部落差別によって結婚をさまたげられるといった事案が起きています。また被差別部落の地名をネット上に公開するという事件も起きています。これについて、昨年、東京地裁は削除と損害賠償を命じる判決を出しています。


水平社博物館ウェブサイト


インターネットと部落差別の現実(SYNODOS)



入管施設の実態を伝える映画「牛久」

2022-02-14 22:25:03 | 共生・反差別
 法務省の外局である出入国在留管理庁が運用する施設には、在留資格が期限切れとなったが何らかの事情で帰国できない外国人、難民認定を申請中の難民などが多数収容されています。2月26日から公開される映画「牛久」(トーマス・アッシュ監督)は東日本入国管理センターに収容されている人びとが語る言葉を記録した作品です。当事者の了解を得て、「隠し撮り」の方法で記録された貴重な映像です。

 入管施設への収容は身体の自由を規制する行為であるのに、裁判所による審査もなされていません。そして、多くの人びとが場合によっては数年もの長期間にわたって収容されています。

 昨年、名古屋入管局に収容されていたウィシュマ・サンダマリさん(スリランカ人、女性)が病死した事件がマスメディアでも報道されました。収容者が必要な医療をなかなか受けられないという実態が報告されています。施設内での非人道的な処遇や虐待の被害を訴えている人びともいます。

映画「牛久」公式サイト

映画『牛久』は、入管収容所の過酷な実態を映し出す衝撃のドキュメンタリー Pen-online

ビリー・ホリデイが歌っていた「奇妙な果実」

2022-02-09 22:55:41 | 共生・反差別
 かつて米国では黒人への凄惨なヘイトクライム(リンチ事件)が多発していました。1930年代にユダヤ人の高校教師ルイス・アレンによって作られた歌曲「奇妙な果実(Strange Fruits)」はそうした事件を告発しています。1939年にジャズ歌手ビリー・ホリデイ(Billie Holiday、1915~1959)が初めてレコーディングしました。

 「奇妙な果実」とは惨殺されて木につり下げられた黒人の遺体を意味しています。この歌の歌詞は「南部の木々には奇妙な果実が実っている。その葉も根も血に濡れている。黒い体が南部の風にゆれている」というものです。

 米国政府はビリー・ホリデイがこの歌を歌うことを執拗に妨害しました。妨害に屈することなく歌い続ける彼女の姿を描いた映画「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ」(リー・ダニエルズ監督)が2月11日に公開されます。

映画「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ」公式サイト



ニューヨーク市が外国人に参政権

2021-12-11 22:12:35 | 共生・反差別
 米国のニューヨーク市で、市長選挙や議会議員選挙で外国人にも一定の要件で選挙権を付与する条例が成立しました。永住権や就労許可が与えられていて、30日以上在住している場合に認められます。
 米国ではいくつかの市で外国人参政権が認められていますが大都市では初めてです。

米NY市、外国人にも参政権 主要都市で初  AFP