自由と平和、生存と共生のために

「誰もが人間らしく生きられるためには」という視点から、さまざまな社会問題についての情報をお届けします。

「衛生パス」に大規模抗議デモ、フランス

2021-08-08 17:31:46 | COVID-19
 フランスでは、病院や介護施設の従業員にCOVID-19のワクチン接種を義務付けるなどとする法律が成立しました。ワクチン接種などを記録した「衛生パス」の提示が映画館や美術館の利用条件となっています。8月9日からは飲食店などでも「衛生パス」の提示が義務付けられます。
 こうした規制に抗議する人びとが毎週土曜日に抗議デモに参加しています。7日には全国で約25万人がデモに参加しました。
 イタリアでも同様の抗議行動が行われています。

フランス各地で「衛生パス」に抗議 25万人参加  AFP


仏 ワクチン証明義務化に抗議デモ 違反客に罰金1万8000円  FNN

「入院拒否で懲役刑」、感染症法・特措法の「改悪」に反対します

2021-01-19 22:29:08 | COVID-19
 感染症法とCOVID-19対策の特別措置法の「改正」案が国会で審議される見通しです。

 感染症法「改正」案では、入院拒否者、自主的退院者に懲役刑も含む刑事罰を科すとしています。また疫学調査拒否者などに罰金刑を科すとしています。
 事実上の拘禁によって感染症対策を実施することにどのような根拠があるのでしょうか。COVID-19の危険性(致死率など)や他の感染症との比較からもこうした対策には疑問が生じます。感染者への差別意識を広げるおそれも大きいと予想できます。かつて「らい予防法」にもとづく強制隔離政策によって、多くのハンセン病患者が尊厳と人生を踏みにじられたことを思い起こすべきです。

 特別措置法「改正」案では、緊急事態宣言が出されていなくても事業者に営業時間短縮などを命令できる、そして応じない事業者には行政罰として過料を科すとしています。
 営業の自由を制約するに足る客観的合理的な根拠は示されているのでしょうか。

 もし、これらの改正案が成立し実施されたなら、刑事訴訟や行政訴訟においてその規定の合憲性が厳しく問われるでしょう。
 今回の「改正」案は患者や事業者を「スケープゴート」にして政権批判を抑え込もうとする意図が感じられます。感染症対策は、患者の権利を保障する、安心して診療を受けられる医療体制を整備するという視点から政策が立案、実施されるべきです。


緊急事態宣言よりも緊急医療体制整備を

2021-01-10 10:30:47 | COVID-19
 今回の緊急事態宣言により、飲食業に従事する人びとの生活が大きな打撃を受けることは確実です。すでに、昨年7~9月期に非正規雇用は125万人減少、年収100万円未満の就業者が109万人減少しています。貧困問題のさらなる深刻化が予想されます。
 COVID-19の原因ウイルスはもともと一般的な風邪の原因ウイルスです。冬季に流行するのは自然なことです。もし感染しても安心して診療を受けられる医療体制をつくるのが優先的な課題です。
 現在、「コロナ対応が可能」としているのは公的病院では7~8割。しかし、民間病院では2割弱です。こうした現状においては、緊急に対応病床を確保して医師・看護師と医療機器を配置しなければなりません。民間病院をすみやかに公的管理下に置いて、必要な診療を患者に提供できる体制を整備するべきです。病院への経営支援や看護師などの労働条件改善も確実に実施する必要があります。

病床の多い日本でなぜ「医療崩壊」が起きるのか
  東洋経済

「医療崩壊」が起きない仕組みをつくること

2021-01-02 17:25:50 | COVID-19
 COVID-19の感染拡大による「医療崩壊」が危惧されています。日本では医療分野において、多くの民間の事業体(私立病院など)が独立した経営をしています。民間事業体では経営効率を優先させる医療がなされています。平常時なら特に問題は生じなくても、感染症の大規模な流行などが起きると適切な対応ができなくなります。
 医療従事者・医療機器・病床などを適切に再配置(一般病床のICUへの転換も含む)できるように迅速に制度の改革を図る必要があると思います。ある意味では医療の社会主義化、計画医療と言える政策です。患者が安心して適切な診療を受けられる仕組みをつくるという視点が不可欠です。

 日本と比べるとはるかに経済水準が低いにもかかわらず、すぐれた医療政策を実施しているキューバでは医療崩壊は起きていまないようです。

キューバがコロナ封じ込めに成功 医療水準高く、隔離策を徹底  京都新聞

(コロナ特集)新型コロナとキューバ ~対外関係の側面~ 駐キューバ大使 藤村和広

キューバはいかにしてコロナを封じ込めたのか 経済制裁の中で発達した医療システムと独自の医薬品が奏効  キューバ大使館

「医療崩壊」という言葉の本質は

2020-12-07 21:46:00 | COVID-19
 COVID-19の感染拡大にともなって、「医療崩壊」という言葉を耳にすることが多くなりました。これは、患者の立場に立つと、「安心して必要な診療を受けられない」ということでしょう。
 ワクチン接種の政策は異様な速さで推進されています。しかし、患者、特に重症者向けの医療体制の整備はあまりにも遅れていないでしょうか。そもそもコロナウイルスは普通の風邪のウイルスですので、冬季に流行するのは当然予想できたことです。「命を守る」ために優先的に考えるべきことを怠っていたのではと思います。
 この問題の背景には医療費抑制政策とその理由づけに使われている財政難の問題もあると考えられます。この点についてはまた考察するつもりです。
 もうひとつ気になるのは、「医療崩壊」を防ぐためと称して、感染者を増やさないようにしようとする発想です。医師会や行政機関は「うつらない、うつさない」をスローガンにしています。しかし、このスローガンは「病気になるのは悪いこと」であるかのようなメッセージを伝えてしまわないでしょうか。感染者への非難や差別の背景要因になるおそれもあります。
 個々人が自覚的に感染対策をするのは確かに大切でしょう。しかしそれも、「もし感染しても安心して診療を受けられる」という医療体制が前提としてあるべきではと思います。