自由と平和、生存と共生のために

「誰もが人間らしく生きられるためには」という視点から、さまざまな社会問題についての情報をお届けします。

深刻な大人の「いじめ」

2020-10-27 19:51:19 | いろいろ
 今春、緊急事態宣言下、営業を継続したパチンコ店に対して行政権力、メディア、「自粛警察」と呼ばれる市民から激しい非難、攻撃がなされました。パチンコ店は「感染を拡大させる危険な存在」であるかのように扱われました。しかし、私の知る限りでは、その後もパチンコ店の顧客が集団感染したという事例はありません(従業員が集団感染した事例は報告されています)。客観的事実や科学的認識という根拠を欠いた社会的排除の典型例です。関東大震災後の朝鮮人虐殺事件やナチス支配下のドイツにおけるユダヤ人迫害を連想させる事件でした。
 職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)、「いじめ」の問題も深刻です。2019年度には労働局に寄せられた相談のうち「いじめ・嫌がらせ」の問題は9万件近くに達しています。
 生活保護受給者への偏見や非難も大きな問題を起こしています。受給要件を満たしていても「バッシング」を受けることをおそれて申請をためらう人びとが多いと推測されます。
 性暴力、性犯罪の被害者はしばしば「被害者にも責任がある」などと非難されます。そのために、多くの被害者がどこにも相談しない、できないという深刻な現実があります。
 子どものいじめ事件では、加害者と同調者が「被害者に「問題」がある」と言い立てて、加害行為を正当化するケースがしばしば見られます。学術会議委員任命拒否事件のその後の展開でも同様の構図が浮かび上がっています。
 小中学校では道徳が教科として指導されるようになりました。しかし、子どもたちは道徳教育の中で語られる言葉よりも、大人社会のリアルな実態により大きく影響されるのではないでしょうか。
 文科省の調査によると2019年度の学校での「いじめ」の重大事態案件は723件で、前年より121件増加しています。

「戦争の始め方」いろいろ

2020-10-25 13:56:30 | 平和
 「言いがかり」「でっち上げ」「自作自演」などで戦争が始まった事例です。

イラク戦争(2003年~2011年)
 アメリカのブッシュ政権は、「イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有している」と繰り返し宣伝しながら、国連安全保障理事会の決議もなく、イラクに侵攻しました。その後も大量破壊兵器は発見されませんでした。

映画「記者たちー衝撃と畏怖の真実」(2017年、ロブ・ライナー監督) 映画.com
 イラク戦争の真実を明らかにしようとするナイト・リッダー社の記者たちの姿を描いてます。


トンキン湾事件(1964年)
 「アメリカ海軍の鑑定が公海上で北ベトナム軍から魚雷による攻撃を受けた」とされる事件。これを口実に、米国議会は北ベトナムに対する全面的な戦争遂行を決議。後に秘密文書から事件捏造(ねつぞう)などの事実が明らかにされました。

映画「ペンタゴン・ペーパーズ」(2017年、スティーヴン・スピルバーグ監督)映画.com
 ベトナム戦争関係の国防総省機密文書を入手し、公表しようとするワシントン・ポストのジャーナリストたち。


柳条湖事件(1931年)
 関東軍(中国駐留日本陸軍)が南満州鉄道の線路を爆破した事件。関東軍はこれを中国側の行為と主張して満州全体への軍事侵攻を開始しました。

軍事用語の言い換え

2020-10-25 13:52:50 | 平和
 日本国憲法は平和主義を三大原則の一つにしており、第9条で戦争放棄、交戦権否認、戦力不保持を規定しています。そのために、さまざまな用語が言い換えられています。 
 戦争あるいはそれに近い事態が生じると「有事法制」と呼ばれる一連の法令が発動されます。自衛隊・米軍の活動を優先させるための仕組みです。これは「戦時法制」を言い換えた用語です。
 自衛隊法は「戦闘行動」に「防衛出動」という用語を使っています。
 陸上自衛隊の「普通科」「施設科」とはそれぞれ「歩兵」「工兵」のことです。工兵とは陣地をつくったり、地雷を除去する作業をする兵員です。海上自衛隊の「護衛艦」とは巡洋艦、駆逐艦などの戦闘用艦艇のことです。
 「日本軍」が「自衛隊」と言い換えられていることも忘れてはなりません。
 ちなみに日本の軍事費(これも「防衛費」と言い換えられています)は国別で世界第9位です(2019年)。

住民投票から排除される外国人

2020-10-24 17:54:12 | 共生・反差別
 「大阪都構想」の住民投票が11月1日に実施されます。大阪市には14万人を超える外国籍住民が居住していますが、投票権は与えられていません。
 憲法92条に規定されている「地方自治の本旨」とは、その地域における統治はその地域の住民自身によって行われるという意味です。外国籍住民に住民投票の投票権を与える条例を制定している自治体も増えてます。
 多くの国で、一定の条件つきで外国人の地方参政権(選挙権・被選挙権)が認められています。

「みんなで住民投票!」という団体が外国籍住民も投票できるようにと活動をしています。
「みんなで住民投票!」


外国人、住民なのに投票権なし 「大阪都構想」の賛否で14万人
 共同通信

人種差別を題材にした映画

2020-10-24 16:52:34 | 共生・反差別
「ヘイト・ユー・ギブ(The Hate U Give)」(ジョージ・ティルマン・ジュニア監督)
 白人警官から目をつけられたときの対応法を主人公の黒人少女が父親から教わる。アメリカの黒人が置かれている現実を実感させる冒頭の場面が印象的でした。ちなみに、父親はブラックパンサー党員のようです。スターは目の前で幼なじみの少年が白人警官に射殺されるという惨劇を体験します。そして、あらためて人種差別の現実を正面から見つめることになります。黒人としてのアイデンティティのあり方、黒人社会がかかえるあまりにも厳しい現実、差別に立ち向かうことのむずかしさなどが描かれています。主人公役の熱演も光ります。

 原作はヤングアダルト向け小説『ザ・ヘイト・ユー・ギブ』(アンジー・トーマス著、服部理佳訳、岩崎書店)です。

「ヘイト・ユー・ギブ(The Hate U Give)」予告編

「ヘイト・ユー・ギブ(The Hate U Give)」冒頭部分


「フルートベール駅で」(ライアン・クーグラー監督)
 黒人青年オスカー・グラントが2009年元旦にサンフランシスコのフルートベール駅で警官に射殺された事件を題材とした作品です。殺害された主人公の人生最後の一日を中心に描いています。

「フルートベール駅で」予告編