「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

写真家の見た「陰翳礼賛」―『陰翳礼賛』:「ブクログ」より移行

2019年11月16日 | Arts
☆『陰翳礼賛』(谷崎潤一郎・文、大川裕弘・写真、パイ インターナショナル)☆

  いつ頃だったか覚えていないが、『夜は暗くてはいけないか』を読んで、初めて『陰翳礼賛』を知ったのではなかったかと思う。谷崎潤一郎の『文章読本』はなぜか読んだことがあったのだが、その時まで谷崎の作品は一冊も読んだことがなかった。それにもかかわらず(あるいは、それだからこそ、かもしれないが)『陰翳礼賛』には完全に魅了されてしまった。愛読書の一つになったと言って良いだろう。日本文化、とりわけ日本の美学(日本人の美意識)を論じた不朽の名作である。
  本書は『陰翳礼賛』の本文に、大川裕弘さんという写真家による『陰翳礼賛』をイメージした写真が付された、文章と写真のコラボレーション作品である。写真集として見ているだけでも満足できる。ただ、『陰翳礼賛』を読んで、どのようなイメージを思い浮かべるかは人それぞれだと思うので、自分のイメージとは合わないこともあるかもしれない。その意味では、本来の『陰翳礼賛』を読んでから、あらためて買う方が良いと思う。
  気になったことをもう一つ挙げておく。本文と写真の合間に、本文から抜き書きした部分が(本文よりも文字のポイントを下げて)ところどころ挿入されている。この部分を本文の続きとして読んでしまう可能性があるので(とくに初めて読む人のために)どこかにその旨を記しておくべきではないだろうか。

  


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