ユーラシアウァッチ:ロシアから見る世界情勢

ロシアは一帯一路の地政学的要所。米中対立や中東対立のキープレイヤー。マスコミのロシア情報は貧しい。その致命的穴を埋める。

プーチン大統領がロウハニイラン大統領と会談:トルコも巻き込み地域連帯を強調

2019-06-16 09:25:51 | 中東におけるロシア

 6月14日付でロシア大統領府公式サイトが、プーチン大統領とロウハニ・イラン大統領の会談内容を伝えた。
 この会談の中で、プーチンの発言にいくつか特徴的なキーワードがある。
(1)全体としてイランとロシアの協力関係について話しているにもかかわらず、テロと 
   の戦いや中東の安定化に関する問題では、「イラン、トルコ、ロシア」三国の協力
   の成果と強調し、トルコを陣営に巻き込んでいる。
(2)「シリアでのテロリスト」との戦いとはもちろん、半アサド派との戦いも含む。
(3)二国間関係の話であるにもかかわらず、Русский мир(ロシア世界)とペルシャ文化圏という言葉で表すことにより、帝政ロシア時代以
   来のつながりを示唆するとともに、ロシア―イランの二国間を超えた中東・ユーラシアの連系による、アメリカの一極化への警鐘であるとともに、
   これら地域での中国の覇権を許さないスタンスを示唆している。

 その一方で、ロウハニ氏の発言は形式的な謝辞を述べており、それほど目新しいキーワードは見えない。以前からと同じように慎重に「外部からの圧力」ということで、米国やその他の国の名前を名指していない。この「外部からの圧力」には、原油輸入制限に協力する日本も暗に含まれている。


プーチン:大統領閣下、皆様、心から歓迎いたします。改めてお会いできたことうれしく思います。イランとロシアの関係は多層的、多面的なもの
     で、経済関係、地域の安定、シリアにおけるテロリストを含む、テロリズムとの戦いなどにかかわっています。
     イランの積極的な協力のおかげもあって、これらの分野で多くの成果がありました。この成果は、イラン、トルコ、ロシアの共同の成果です。我々の間での経済関係も発展し、多くの分野で成果を上げています。人道支援面でのつながりもずっと昔から緊密で、「ロシア」世界にとって
     もペルシャ文化圏にとっても共通の利害関係が、我々の対話にとっていつも重要な要点でありました。
     今日のサミットの場であなたにお会いでき、これらすべての問題について話し合えることを大変うれしく思います。

ロウハニ:ありがとうございます大統領閣下。本日あなたとお会いする機会をいただき光栄です。まず先日のロシア国家の日のお祝いを申し上げま
     す。ロシアとイランの関係は世界に向けた見本となるもので、日々前進しています。協力分野は多く、すべてを数え切るのは困難なほどで
     す。協力していない分野を名指す方が難しいでしょう。中東で現在生じている状況が、我々の間での協力をさらに密にする必要性を生み出
     しています。テロとの闘い、そして地域安定化の取り組みに我々はポジティブな協力の経験を持っています。
     現在の状況下で、外部からの深刻な圧力や、外部からの制裁がある中で、地域の諸国間の協力、特にロシアとイラ
     ンの協力の必要性は日に日に増しています。国際レベルでは、国際フォーラムなどの場で、我々のアプローチは近いという事実を知ります。こ
     れは我々が国際舞台で、とても良好な協力関係を展開していることを意味します。本日の会談が、我々の二国間関係発展にさらなる後押しとな
     ることを信じて疑いません。

中国はウクライナ経由のコンテナ貨物列車の運航を開始

2019-06-16 07:48:33 | 一帯一路 東欧
 中国からウクライナを経由してハンガリーに向かう新たなコンテナ輸送列車の運行がスタートした。4月9日付でbiz.liga.netが伝えた。
 すでに3月27日にはこのコンテナ列車は陝西省からハンガリーEpereshke 区間で試験運行を行っている。41のコンテナが輸送された。
 この新たなウクライナ経由ルートは、中国西部阿拉山口からカザフスタン(ドストィク)―ロシア(スゼムカ)-ウクライナ(ゼルノボ―バテボ)を経由してハンガリーに至る。同ルートを運航しているのはRail Cargo Logistics(ロシア)及び KTZ(カザフスタン)である。
 これら運航企業によれば、この「南回り」ルートを通じて、オーストリア、ドイツ、ポーランド、ルーマニア、イタリア、トルコ他の南欧諸国への貨物輸送が可能である。このルートの課題は、ブレスト―マラシェヴィチ国境ポイントにおける貨物の滞留である。この国境ポイントにはベラルーシとロシアカリーニングラードからの貨物が集中しやすく、さらに同ポイントでは定期的な改修工事も行われている。
 すでに3月初めにはベラルーシからウクライナ経由ルーマニア行きのコンテナ列車の定期運航が開始しており、4月4日にはウクライナはポーランド向けの新たな定期コンテナ列車運行を始めた。(4/9)

一帯一路フォーラムで中国・ベラルーシの専門家が輸送協力を議論

2019-06-16 07:47:16 | 一帯一路 東欧
 5月27日一帯一路国際会議において、中国とベラルーシ両国の研究者たちが輸送分野をはじめとするインフラプロジェクトの発展や、今後の国際協力にかかわる幅広い問題を議論した。同日付でtvr.byが伝えた。
 現時点で約130か国が一帯一露のプロジェクトに参加しており、ベラルーシは同プロジェクトの主要な物流中継点となっている。同国際会議において、参加者たちはベラルーシを通じた輸出経路の多角化やベラルーシの物流拠点としての可能性について論じた。
 2018年には前年比で、中国からベラルーシを通じた欧州へのコンテナ輸送量が約3割増加している。(5/27)

中国がカザフスタンに一帯一路に沿った輸送プログラムの調整を提案

2019-06-16 07:45:47 | 一帯一路 中央アジア
 5月22日、中国の王外相はカザフスタンのアタムクロフ外相との会談において、「カザフスタンは「一帯一路」イニシアチブの実現において、主導的な一を占めていると指摘した。同日付でRegnum通信が伝えた。
 両外相の会談はは上海協力機構外相会議に出席するために訪問中のビシケク市(キルギスタン)で行われた。王外相は、両国間での輸送分野での連系をより密にし、「一帯一路」と輸送インフラ発展を一つの軸とするカザフスタンの経済政策「ヌルリ・ジョル」をより深く関連付けることを提案した。両者は上海協力機構発展銀行の設立や、お互いの国の通貨での取引を増やす方針でも一致した。(5/2)

ロシアガス大手ノバテクがSinopecと中国でのガス販売会社を設立

2019-06-16 07:43:10 | 北極海航路 極北プロジェクト
 6月5日ロシアガス大手「ノバテク」は中国Sinopec及びロシア国営銀行ガスプロムバンクと、中国市場におけるLNGと天然ガスの最終消費者への販売を手掛ける共同会社設立について基本条件の合意を結び署名した。ノバテク社公式サイトをもとに、6月13日ユーラシアウァッチ記者が伝えた。
 「中国の投資家はわが社のロシア極北地域におけるLNGプロジェクトに関心を示しています。中国でガス販売を手掛ける共同会社を設立すれば、中国市場でのLNG販売量を確保するだけでなく、中国という一大市場における最終消費者の開拓に向けた投資可能性を平行くものです」と同社のミヘルソン会長は言う。
 ノバテク社は天然ガスの採掘から、LNG、市場での販売までのサイクルを構築することを目指して事業を行ってきた。今回の協定は習近平国家主席のロシア公式訪問プログラムの枠内で署名された。(6/7)