朝刊に、昨年亡くなられた詩人の「茨木のり子さん」の「見えない配達夫」の詩が紹介されていました。
先日紹介したオランダのチューリップが今開こうとしています。
見えない配達夫 茨木 のり子
Ⅰ
3月 桃の花はひらき
5月 藤の花々はいっせいに乱れ
9月 葡萄の棚に葡萄は重く
11月 青い蜜柑は熟れはじめる
地の下には少しまぬけな配達夫がいて
帽子をあみだにペダルをふんでいるのだろう
かれらは伝える 根から根へ
逝きやすい季節のこころを
世界中の桃の木に 世界中のレモンの木に
すべての植物たちのもとへ
どっさりの手紙 どっさりの指令
かれらもまごつく とりわけ春と秋には
えんどうの花の咲くときや
どんぐりの実の落ちるときが
北と南で少しづつずれたりするのも
きっとそのせいにちがいない
秋のしだいに深まってゆく朝
いちぢくをもいでいると
古参の配達夫に叱られている
へまなアルバイト達の気配があった
Ⅱ・・・・・
我が家の庭にも無事に手紙が届いたようです・・・