有川浩「空飛ぶ広報室」を読んだために、恋愛ものや家族の葛藤や失意と再生の物語といったものより、スケールの大きい小説を読みたいという思いが俄に強くなった。
北上次郎が1983年に書き、1990年に”その後“を追記して文庫化した「冒険小説の時代」をパラパラめくりながら、その自分の変化は当然、必然のことなのだという気がした。
それで次に選んだのが、真山仁「コラプティオ」。名前は当然知っていたが読んだことのない作家だったが、すごい読み応え、当たりだった。
内藤陳が死んで冒険小説協会は2010年に解散となったが、大賞受賞作一覧をみるとすごい名前が並んでいる。さらに“冒険小説おすすめ”で検索して出てくる作家名、作品名を見ているうちに、こいいうスケールが大きく、ディテールがすごい“エンターテイメント小説”が席巻しているのだなと思った。
わたしがあまり小説を読まなくなっていた十数年の間に、現代の小説はすごい進化、発展を遂げていたのだ。
エンタメとしてなら、映画があるから小説は必要ないなんて思い込んでいたわたしはなんて滑稽なんだろう。時代遅れだったんだろう。大損したんだろう。
早くはなくても、気づけてよかった。