ジャズとボサノヴァの日々

Days of Jazz and Bossa Nova

Stan Getzのシングル盤 鵞鳥のサンバ

2015-04-12 22:00:00 | 和レコードの魅力
O Pato performed by Stan Getz and Charlie Byrd


以前のエントリーに書いたが、Verveレコードは60年代、スタン・ゲッツ/ Stan Getzをメインに据え、国内外の有名ミュージシャンをゲストに招き、立て続けにボサノヴァのレコードを録音している。これらの作品は全てカタログ化され、現在でも入手が可能だ。つまり21世紀になっても売れ続けている音楽という訳だ。

"鵞鳥のサンバ"というタイトルは聞き慣れないと思うが、原題は"O Pato" だからボサノヴァ・ファンの皆様はご存知だろう。Jayme Silva, Neuza Teixeiraによって制作され、ジョアン・ジルベルト/ João Gilbertoの1960年のアルバム"O Amor, o Sorriso e a Flor"に収録され広く知られた曲だ。

この曲が60年代の米国におけるボサノヴァブームの発火点となったアルバム"Jazz Samba"(1962年4月リリース)に収録され、世界に発信された。日本では"鵞鳥のサンバ"というタイトルで1963年1月にシングルカットされた。ジャケットの惹句は"話題のリズム・ボサ・ノバの本命盤!"、カップリング曲は"Samba Dees Days"だ。




スタン・ゲッツ/ Stan Getzとチャーリー・バード/ Charlie Byrdによる映像が残っているので是非ごらん頂きたい。Perry Como Showに出演した時のライブ映像だ。ボサノヴァって大人向けの音楽だったことが分かる。



ジョアン・ジルベルトのO Patoが収録されているのは、このアルバム。


愛と微笑みと花

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Stan Getzのシングル盤 月影のサンバレロ

2015-04-08 22:00:00 | 和レコードの魅力
Sambalero performed by Stan Getz and Luiz Bonfa

1958年に始まったBossa Novaのブームに肖ろうとVerveレコードはスタン・ゲッツ/ Stan Getzを中心に据え、ギタリストのチャーリー・バード/ Charlie Byrdをゲストに"Jazz Samba"というアルバムを1962年4月にリリースした。米国の音楽ファンに好評だったのを受け、同年8月にはゲイリー・マクファーランド/ Gary McFartlandの編曲・指揮によるオーケストラをバックにスタン・ゲッツが伸び伸びとサックスを吹いた"Big Band Bossa Nova"を録音している。

翌年1963年に同じくスタン・ゲッツをリーダーにギタリストのルイス・ボンファ/ Luiz Bonfaと奥方のマリア・トレード/ Maria Helena De Toledoを迎え"Jazz Samba Encore"を発売した。

第一作の"Jazz Samba"と第二作の"Big Band Bossa Nova"は、米国のジャズ・フィールドからBossa Novaへアプローチした作品という色彩が強かったが、第三作"Jazz Samba Encore"はボサノヴァ本来の魅力に溢れている。取り上げている曲やアレンジも良いのだが、メンバーの顔ぶれが鍵を握っている。次作の"Getz/Gilberto"にも参加して、このアルバムを世紀の名盤に導いたアントニオ・カルロス・ジョビン/ Antonio Carlos Jobimがゲストに招かれているのだ。つまり"黒いオルフェ"の音楽を担当したJobimとBonfaが本作に参加して腕を振るい、Maria Toledoが清涼感のあるスキャットを聴かせてくれるのだから、ボサノヴァ色が強くならないわけがないのだ。

日本でもブームに乗ろうと、"Jazz Samba Encore"からシングルが切られている。タイトルは"月影のサンバレロ/ Sambalero"で、カップリングは"下町の星くず/ O Morro"だ。ジャケットで使われている写真はレコーディング風景のスナップだろうか、座っているのがBonfa、奥に立っているのがMaria Toledoだろう。



ジャケット裏に記載されている"月影のサンバレロ"の解説を以下に引用する。

●月影のサンバレロ

ルイス・ボンファの書いた美しいメロディを持った曲です。ボンファやジョビンと同じブラジル生まれのすてきな女性、マリア・トレードのハミングから始まります。ゲッツのハートウォームなソロ、ボンファのギターの後、トレードの声で終わります。



マリア・トレードと言えばこのアルバム。ボサノヴァ永久定番の一枚。

Sings the Best of Luiz Bonfa


GetzとBonfaの二人が出演している"Jazz Samba Encore"のプロモーションクリップらしい映像で今日のエントリーを締めくくろう。

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黒いオルフェ 主題歌 オルフェの唄 シングル盤とLP盤

2015-04-05 22:00:00 | 和レコードの魅力

Original Sound Track Orfeu Negro

「黒いオルフェ」は、映画と言うメディアを通じてブラジルという国を世界に知らしめたと共に、ブラジル音楽の素晴らしさをあまねく知らしめた作品で、映画の成功がボサノヴァ音楽のブームへと繋がり、熱狂は北米は勿論、フランスやドイツ、北欧、そして日本にも飛び火していった。

この映画のシングル盤も各種出ていたようで、筆者のレコード棚に眠っていたシングル盤3枚とアルバム1枚を紹介する。多分他にも出ていたんだろうなぁ。








こちらがアルバムで帯の「黒いオルフェ/ボサ・ノバの誕生」というコピーにレコード会社の戦略を感じる。



 

 

 

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ズート・シムズ ボサ・ノバ 第1番 シングル盤

2015-04-01 22:00:00 | 和レコードの魅力

Recado Bossa Nova performed by Zoot Sims

ズート・シムズ/ Zoot Simsもボサノヴァに魅了されたジャズマンの一人だ。ちゃんと日本でもシングル盤が切られていた。バリバリのズートファンからすると亜流かもしれないが、これはこれで聴き応えのある仕上がりだ。

 

Zootのボサノヴァと言えばVi Velascoの"Cantanto Bossa Nova means Singins the Bossa Nova"だ。Viはフィリピンはマニラ出身の女性シンガーで、Zoot Simsの演奏をバックにこのアルバムを1962年に録音している。スタンダード・ナンバーを艶っぽくハリのある声で歌うViと、ズートの渋いサックスとの相性は抜群だ。

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アントニオ・カルロス・ジョビン 波 シングル盤

2015-03-29 22:00:00 | 和レコードの魅力
Wave by Antonio Carlos Jobim


日本でボサノヴァがブームになっていった過程でレコード、とりわけシングル盤が果たした役割は大きい。理由はLPの値段が高価だったからだ。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査のデータを見てみよう。この調査は1968年に始まっており、丁度ボサノヴァのレコードが世に出て行った時期と符合するので活用したい。調査によると1968年当時の大卒給与が月給3万600円。2012年で20万円程度なので、約六分の一だ。

一方でレコードの価格は1968年当時、LPで1800円前後、シングルで300円前後だったと記憶している。つまり初任給の比較で言うと、現在の貨幣価値でLPが10800円相当、シングルが1800円相当だったと仮定出来る。この価格ではLPには手が出ない。新しい音楽を渇望していた若者達がシングル盤の購入に走ったのは自然の成り行きだ。

これはポピュラー全般(ロックも含む)に言える事で、レコード会社はシングル盤を売ることが命題だったはずだ。ボサノヴァというジャンルについてもシングル盤がプロモーションの核であったはずだが、中古レコード店でボッサのシングルをあたっても、セルジオ・メンデスやアストラッド・ジルベルトだけが鎮座しており、一体日本でボサノヴァと言えばセルメンとアストラッドだけなのか、と唸ってしまうが、実際は様々なレコードが発売されていたはずだ。

日本全国どこの中古レコード店にも常備されているシングルから、滅多にお目にかからないものまで、日本で発売されたボサノヴァ、もしくはボサノヴァ・テイストのレコードは相当数あるはずだ。筆者のレコード棚に眠っているシングルを引っ張り出して紹介したい。

初回だが、ボサノヴァと言えばアントニオ・カルロス・ジョビンということで"波/ Wave"を紹介する。B面が"トリステ/ Triste"のカップリングで、なかなか見ないレコードだと思う。オリジナルレーベルはCTI、日本ではキングレコードが権利を持っていたA&Mレーベルから発売されたシングルだ。A&Mと言えばオーナーのハーブ・アルバート&ティファナ・ブラスやボサノヴァ・ブームを牽引したセルジオ・メンデスとブラジル66が筆頭アーティストだが、バート・バカラック、ロジャー・ニコルズとザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ、クリス・モンテス、クロディーヌ・ロンジェなど、今で言うソフトロックを代表するアーティストが所属していた。1970年代にはカーペンターズのヒットによってレコード会社としての地位を固めると共に、ピーター・フランプトンやポリスなども扱う総合レーベルへと躍進している。

ジャケットはソフトロックのカタログが充実していたA&Mらしく丸みを重視したデザインで、幅広いリスナーを想定していると思う。



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