冬桜というが、秋に咲き始める。葉が小さいので小葉桜とも呼ばれる。春にも咲くらしいが、この時期に咲くことで、注目を集めている。まだ遠い春を思わせる可憐な花である。
(2019-10 東京都 神代植物公園)
・本州を原産とするバラ科の落葉高木。来歴には諸説あるが、一般的にはヤマザクラとマメザクラが自然に交配してできたものとされ、伊豆半島と房総半島には自生も見られる。
・主な開花期は11~12月と4月の年2回であるが、その間も細々と咲き続ける。季節外れのサクラとして町おこしなどに積極的に利用され、埼玉県児玉郡の城峰公園、愛知県名古屋市の庄内緑地公園、群馬県藤岡市の桜山公園などの名所がある。特に桜山公園のフユザクラは「三波川の冬桜」として名高く、国の天然記念物に指定される。
・冬に咲く桜は他にもジュウガツザクラ、カンヒザクラ、カンザクラ、シキザクラ、コフクザクラなどがあり、これらを総称してフユザクラと呼ぶこともある。
・冬に咲く花芽は全体の3分の1であり、残り3分の2は春に咲く。春に咲く花の方がより大きくて見応えがあるが、春の開花期には新葉が展開しており、木全体が花だらけというわけにはいかない。
・花は一重で咲き始めは薄いピンク、後に白色になるのが普通。花の直径は3センチ前後で花弁は5枚、花柄は短く、寒気が強くなると花弁は枝に張り付くように萎む。秋に咲く花には実がならないが、春に咲く花には実がなり、これを蒔けば増やすことができる。
・フユザクラの葉は長さ5~6センチほどであり他のサクラ類に比べて小さいため「コバザクラ(小葉桜)」という別名がある。小さな葉の割には縁に大きなギザギザがあるのが特徴。