オニユリは日本の山野でみかけるもっともふつうの百合、もっとも百合らしい百合だろうか。少年の頃の記憶をよみがえらせるどこか懐かしい花である。むかしからゆり根をとって食用にするために増やされ、それが野生化したものらしい。
(2019-08 川崎市 道端)
オニユリ(鬼百合・学名Lilium lancifolium)とは、ユリ科ユリ属の植物。
自生地
グアム東部、中国、朝鮮半島、日本に自生する。日本では北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、一説には中国からの渡来種と言われている。
変種に対馬に自生するオウゴンオニユリ(Lilium lancifolium var. flaviflorum)がある。
特徴
草丈は1~2m程となる大型のユリ。葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖る。茎は紫褐色で細かい斑点がある。花季は7月から8月で、花弁はオレンジ色、濃褐色で暗紫色の斑点を生じる。花弁は強く反り返る。種子は作らないが、葉の付け根に暗紫色のムカゴを作る。鱗茎はヤマユリと同様、ユリ根として食用となる。
近縁種
近縁に同属のコオニユリ (Lilium leichtlinii) があり、こちらは山地の草原や低地の湿原に生育する。オニユリによく似ているが、植物体が一回り小さく、ムカゴを作らず、種子を作る。