〝寅さん〟に憧れ、彼が泊まりそうな所を当てずっぽうで予約したのが、
尾道の旅館、栄屋さん。
人柄の好い、妙齢の御夫婦での経営。
この日も朝早くから起き出し、窓を開け放ち、街中の音を聴きながら朝食まで庭を眺めて過ごしました。
朝、窓を開けて判ったんですが、3号が求めていた感じです。
朝食後は雨が降ってきたので、出発を10時まで延ばし、雨音を聴いていました。
雨音と街中の雑音が混じり、程よい風情です。
食事中、ずっと女将さんが傍で給仕をしてくれるんですが、その、待っている時のいそいそ感を可愛らしく感じ、「おかわり」と茶碗を出すのが楽しくなる始末。
この日は、連泊らしき女性が1人宿泊。
全くの初対面同士、はす向かいでの朝食は、照れながらも新鮮な体験。
この松、面白いんですよ。
下のほうは、凄いねじれ具合なのに、写真に写っているところより上は、真直ぐに伸びているんです。 なんでも、以前、お隣には、産婦人科の病院が建っていて日陰になっていたから、こんな風になったんじゃないかとの説明です。
雨が止むまで逗留させて頂くのも、ついでに荷物と自転車を散策が終わるまで預かってもらうのも、人柄の良さに付け込むような気がして却下。 ここは甘えず、小降りになった頃合いを見計らって出発する事にしました。
駅に向かう途中、広島から来た人が自転車を畳み帰宅する所に遭遇したんですが、帰宅の理由が雨。 昼には止むと思うんですが・・・、やはり、近くの人だから、何時でも来れる強みなんでしょう。
長時間自転車置き場に止めるのも気が引け、分解して、駅のコインロッカーにモールトンを仕舞います。 ついでにザックも仕舞いこみ、カメラとお財布とタオルのみで出発です。
ここは尾道、坂の街。 ついでに路地が多い街。
路地好きな3号には、天国のような街並み。
ここには住人の生活が有るので、あまり浮かれずに・・・・・・
温度も湿気も高いので、既に、汗がポロポロ、滴になってタオルに吸い込まれていきます。
尾道は、猫が多い街なんです。
この猫は飼い猫ですが、大部分が野良。
で、この飼い猫、人懐っこく、離れてもくっついてくるので写真が撮れないですよ。
猫相手に話し込む事、約5分。
思いを断ち切り、バイバイして、帰ると見せかけて振り向きざまの一枚が↑の写真。
載せる程の写真じゃありませんが、HDDに仕舞うのも癪なので・・・
ドシャ降りの蝉時雨の中、階段の上り下りで汗だくになり、〝氷〟ののぼりに魅せられて立ち寄ったのが、このお店。
帆雨亭(はんうてい)
尾道産の桃を漬け込んだ〝桃カキ氷〟を戴いたんですが、
それが、とーーーっても美味すぃーーーーい!
真夏のカキ氷、最後に食べたのなんか思い出せないので、物凄く新鮮な感覚が脳ミソを刺激し、身体を冷やしてくれます。
女子供の食べ物と思っていましたが、真夏の暑い時期を無事に乗り切るには必要なんですね。
すっかり元気を取り戻し、軽い足取りで出発できました。
天寧寺、三重塔も良いですが、五百羅漢が素晴しい。
2~3日無言で過ごしてから、ひと目見て欲しいと思います。
法隆寺の時と同じ、胸の内側から振るえがきます。
因みに、お寺さんでは、殆どお賽銭入れてのお参りをしておきました。
老人が多くなり、彼等には坂道がきつくなり、住む人が減り、空き家が増えて、野良猫が増えた。
今、家賃、幾らなんですかね?
尾道は、林芙美子の所縁の地。
林芙美子といえば、昔、新宿区中井に住んでいて、そのお屋敷の下に3号は住んでいました。 その昔、この辺は、別荘地として開発され、学者村と呼ばれていました。
幼稚園の頃、3号は遊び盛り。 人の家の塀を渡り歩き、時には、庭に下りて遊んでいました。 〝忍者部隊 月光〟に、本気でなりきっていた時代です。 当然、林芙美子さんの家も標的になるわけで、塀越しに中を確認し、誰もいないのを確認して庭に降り立ち、芝生の庭を匍匐前進している時に声が掛かりました。
「僕達、そこで何やっているの?」
「 ! 見つかった!」
見ると、品の良い5~60才位の女性が縁側に立っています。
立ち上がり、「忍者ごっこです。」
女性「そお・・」
その女性は、出て行けとも言わず家の中に入って行き、3号達2人は、太陽が燦々と降り注ぐ中、広い芝生の庭にポツンと取り残される格好になり、急にバカバカしくなって、すごすごと退却した事がありました。
↑ 千光寺 鐘楼
少し、印象的に撮ってみました。
尾道といえば、尾道ラーメン。
3号も食べたいと思っていましたが、行列を見て却下しました。
今回、何処でもそうでしたが、本に載っている定番物を、何ひとつ胃袋に入れていません。ガイドブックとか、3号には必要無いみたいです。
で、立ち寄ったのが、海岸縁のお店 Cafe De Plage
海を眺めながら、ランチパスタとビールです。
最後まで、3号一人の貸切状態。
眼と胃袋を満足させ駅に向かい、自転車を組み立て、船乗り場で90分程時間をつぶします。
珍しく、手をつける前の撮影・・・
珍しく、スイーツなんぞに手を出して、海を眺めながらの時間潰し。
そうそう、土生からの船中、船員さんに今回乗る船(尾道~鞆の浦 海上クルーズ)の時間と乗り場を聞いたら、手が空いた僅かな時間に、随分と親切な時刻表をいただきました。
全行程に渉って、今回、出逢った人々、凄く親切な人達でした。
旅先で出逢う人々の人情、3号にとって、明日のスタートラインになるんですな。
で、似合わない可愛らしいスイーツを、乗り場の2階のテラスで人目も憚らず食べている内に出発です。
乗客は、3号と父娘の3人のみ。
ワクワクして、じっと座っていられず、最後まで立ちっぱなし。
所々の見所で、スピードを落として写真撮影の時間を作ってくれるんですが、被写体の建物から、こちらを見下ろす人々の記念写真を撮っているようで、少々興醒めでもシャッターを押す、悲しい性・・・・・
船内にも入らず、ずーっと潮風にあたっているうちに鞆に到着。
つづく
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