前回のウエスタンサルーン編でご紹介した洋酒瓶ですが、備忘録的に製作のメモを残しておこうと思います。
ミニチュア作りに限らずなんですが、どうも自分のモノ作りは「思いついたら即行動」のクセが抜けず、いつも作成途中の画像や動画を取り忘れるんですよね。
動画なんかは最初から「撮ろう」と意識してやると、作業がカメラスタート、ストップのたびに中断してモチベーションが低下してしまいます。
だから最近はYouTubeへの動画投稿が止まっちゃったんですよねぇ。
さて、気を取り直して、肝心のミニチュアについてですが・・・
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前回の記事でご紹介した酒瓶の多くは、このダイソーで購入した「われにくいえんぴつキャップ(クリア)」を使っています。
ポリカーボネイトなので透明度が高く、瓶だけでなく様々なガラス円柱再現に適しています。
なにより、14本も入っているのに110円!
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外径はほぼ、上から下まで同じ太さなのですが、内径は先端に向けて傾斜が付いています。
なので、筒の厚みは均等ではなく、先端に近いほど肉厚になって行きます。
また、先端部分は誤飲時の事故を防ぐための空気穴が開けられています。
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この空気穴の形をうまく利用して、穴をレジンで塞ぎ、ロックグラスにしてみました。
ちょうど空気穴周辺の造形が、ロックグラス下面の飾りのように見えます。
グラスの淵が凄く厚いのですが、実際、キャップを切断するとこのくらいの厚さになります。
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続いてのコチラは、ミニチュア作りだけでなく様々な工作で使われているタミヤのプラパイプ類。
透明な物ではパイプは外径8㎜内径5㎜、外径5㎜内径3㎜、外径3㎜内径2㎜の三種類があります。
一番細いパイプに丁度入る「透明ソフトプラ棒2㎜」も、よく多用しています。
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プラパイプを使って酒瓶を作る際、気を付けなければいけないのが、意外とUVレジンの食いつきが悪い事。
筒の中にレジンを入れ、硬化させると、レジンはだんだんと縮んでいきます。
これが気泡の原因にもなるんですが、プラパイプの場合、内壁から剥離してしまう事があります。
写真でご覧いただくと、中身のレジンが場所によってプラパイプから浮いてしまっているのが分かると思います。
パイプの内壁を目の細かいヤスリで荒らしてあげると食いつきが良くなるようです。
ポリカーボネイトはこの事象が起きないんですよねぇ・・・?
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ウイスキーボトルを作り始めた時、最初はボトルの首を3㎜プラパイプで作っていました。
しかし、ストレートなパイプで作ると、なんだかワインボトルっぽく見えてしまいます。
ウイスキーボトルは様々なデザイン、形がありますが、首の部分が膨らんでカーブを描くものが多いです。
で、これを再現するために考えたのが、プラスチックビーズ。
これまた100均で買える物です。
ミニチュア作りでちょこちょこ使うのですが、今回のボトルネック作りでは透明な6㎜ビーズ(写真右)を使っています。
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このビーズを、まずは針金などの硬い棒に固定します。
自分は使い古したピンバイスの刃を利用しています。
ビーズは成型精度がそこまで高くないので、穴の太さも物によってまちまちです。
ピンバイスなら、0.1㎜サイズ違いで種類が豊富なので、100均ビーズの穴の太さに丁度良いサイズを見つけやすいです。
また、ピンバイスの刃を穴の内側に少しだけ食い込ませる事で、より強固にビーズを固定できます。
右側に写っているミニチュアボトルが、まさにビーズで首を作った物です。
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ビーズを固定したピンバイス刃を電動ミニリューターに固定し、紙やすりに押し当て、好きな形に削っていきます。
いわゆる旋盤加工の極小版ですね。
この、削りたい物を棒に固定し、電動ミニリューターで削る方法は、ミニチュアでも様々な物に応用できます。
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ここはわざわざ解説しなくても・・・という部分ですが、透明なパイプパーツを酒瓶ミニチュアにする工程です。
まずは、シリコンの土台の上にパイプを置き、透明なUVレジンを少しだけ垂らし、瓶の底を作ります。
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そこに、茶色のUVレジンを流し込み、お酒を表現します。
ざっくり見た限り、100均のUVレジンで茶色を取り扱っているのはダイソーだけのようです。
肩の部分は、別で透明レジンで作った物を貼るパターンと、この写真のように直接レジンを表面張力で盛り上げて固める手法の両方を試しました。
酒瓶の中身が半端の場合は、透明レジンをシリコン土台に垂らし、凸レンズ状のパーツを作りパイプに蓋するように貼ります。
この方法だと、合わせ目をきれいにするのが大変ですね。
凸レンズパーツをよりリアルにするため、内側を削り込んでみましたが、これまた表面処理がとんでもなく大変だったので1回しか試していません。
上の写真のように、表面張力でUVレジンを盛り上げて固める方が表面処理はきれいに仕上がります。
ただ、お酒の茶色と瓶の透明レジンと2色でやっても、ボトル全てに液体が詰まっているように見えてしまうので、未開封ボトルならいいのですが、飲みかけボトルの表現としては今一歩です。
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また、もっと簡単にボトルを作るために、既製品の流用を試してみました。
こちらはダイソーで見つけた飾り棚。
厚さ約3㎜の透明な棚板と、それに直接差し込む4本の脚がセットになっています。
この脚パーツをボトルに見立てられないか?と試してみました。
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他のボトルと並べて違和感ない長さ(約2.5㎝)にカットしてみました。
もともとが気泡の入った製品なのですが、小さくすると余計に目立ちますね。
一番右側の大きな気泡は、底の方からピンバイスで穴を開け、透明レジンを流し込んで気泡を目立たなくしてみました。
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手書きのラベルを4枚作り、キャップ部分を塗装して仕上げました。
キャップ部分は、飾り棚の脚のジョイントそのままです。
ちょっと太すぎますが、今回は4本脚があるので同じ酒瓶を4本作ろうと思い、キャップ部分の削り込みをした場合、4本同じ太さに仕上げる自信が無かったので、このようになりました。
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素材が透明なので、お酒の種類としても透明な物が良いだろうと思い、ジンのつもりで作っています。
19世紀の西部開拓時代のサルーンでジンの取り扱いがあったかは不明ですが、イギリス移民も多くいたはずなのでジンが置いてあっても不思議ではないと思います。
まあ、このミニチュアの世界観では、特に時代設定を決めていないので「西部開拓時代から残っている古き良きサルーンスタイルのバー」という事にしておきます。
ちなみに、ラベルは下書きナシの1発勝負で書いています。
当初「GIN」とだけ書くつもりでしたが、書いたバランスが悪く左に文字が寄ってしまったため、オリジナルの銘柄として「GINO」としました。
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飾り棚の脚の残った部分ですが、電動ミニリューターでろくろのように旋盤加工し、別なボトルを削り出してみました。
素材がスチロール樹脂なので、旋盤の際、あまり1回の作業が長いと素材が熱を持ち表面が溶けてしまいます。
耐水ペーパーで濡らしながら削ったり、数秒ごとに回転を止めたりしながら削り出してみました。
地味に大変な作業なので、あまりお勧めできる作り方ではないですね・・・
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こちらのボトルは、ガラス自体に色がついているボトルを再現するため、全体に塗装します。
クリアーブラウンは、クリアーレッドとクリアーグリーンを混ぜて作ります。
キャップ部分は、その辺にあったプラモデルのランナーを輪切りにして接着しています。
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こちらも手書きラベルを貼って完成です。
バーの「お酒がたくさんある」という雰囲気を出すには、ただ酒瓶を並べるのではなくバリエーションに富んだ酒瓶を並べる事が重要ですね。
背の高さ、太さ、丸や四角の瓶、そして色も透明、緑、茶色など等。
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この写真のミニチュアは「ブッカーズ」という実在のバーボンウイスキーをミニチュアにした物です。
今まで紹介した酒瓶は、実在のウイスキーなどを参考に作っていますが、基本的には自分オリジナルです。
まあ、オリジナルだと本物と比べられる事が無いので、それっぽくさえ見えていればOKという手抜きな考えが理由なのですが・・・
しかし、何本か酒瓶ミニチュアを作って、ちょっとコツも分かって来たので実在のお酒のミニチュアにチャレンジしてみました。
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ブッカーズはお酒自体も特徴的なウイスキーですが、ミニチュア目線で言えば、なんといっても独特の木箱に入っているのが特徴です。
この木箱も、時代によってデザインが変わりますが、本物は側面に大きく「BOOKER’S」と書かれています。
木箱の前面は、スライド式の透明パネルが嵌められていますが、ミニチュアでも再現しています。
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こちらも実在のウイスキー「オールドチャーター 8年」のミニチュアです。
このお酒も、発売されていた時期によって、全くボトルやラベルのデザインが変わるのですが、こちらは自分の友人が好きな時代のデザインをミニチュア化しました。
でも、もうこのお酒も終売らしいんですよね。
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こちらは首の部分をタミヤ透明プラパイプ3㎜をベースに作っています。
キャップ部分に、同じくタミヤの透明ソフトプラ棒2㎜を貼り付けて、キャップの開閉が出来るようにしています。
まあ、本当はスクリュー式なので、こんな差し込み棒は飛び出していないのですが。
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このミニチュアを、オールドチャーターを愛飲している友人に見せたところ「是非キーホルダーにして欲しい」と依頼を受けたので、新たに作り直しました。
せっかくなので、本物のボトルと並べて撮影。
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キーホルダーとしてぶら下げて持ち歩くために、全体的に強度が必要と考え、パイプの中身はすべてレジンで埋めています。
パーツの接着も、通常のプラスチック用接着剤ではなく、強力なボンドでくっつけています。
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手書きの紙ラベルを貼った後に、クリアーカラーと木工用の透明ニスを塗って表面を保護しています。
まあ、それでも日常的にぶら下げてたらすぐに劣化すると思うんですよねぇ。
強度だけで考えると、一度作った原型を型取りして、無垢材の一体成型で複製したほうが良いですね。
キーホルダーなどの実用アクセサリー化については、もう少し工夫と経験が必要ですね。