土地の境界に関するトラブルといえば、裁判によって解決せざるを得ないという印象がありますが、最近は筆界特定という制度があり、裁判より安い費用でトラブルを解決できるといわれます。
土地の境界トラブルを解消できる筆界特定をご紹介しましょう。
筆界特定とは、法務局に申請することにより利用できる土地の境界を特定する制度
筆界特定とは、法務省の地方支部局である「法務局」に申請書を提出することにより利用できる、土地の境界を特定する制度です。
筆界特定は、隣地との境界がわからないなどのトラブルに見舞われる土地の所有権を有する方が申し込め、申請書は法務局の公式サイトからダウンロードできます。
以下は、法務局の公式サイトからダウンロードできる申請書の見本です。
申請書を提出しつつ筆界特定に申し込めば、筆界特定登記官と呼ばれる法務局の職員と、土地家屋調査士や測量士などから成る筆界調査委員が、対象となる土地を測量する、利害関係者から事情を聴き取りつつ参考となる資料の提出を求めるなどの調査を行い、境界を特定させます。
筆界特定が実施される主な流れは、以下のとおりです。
2.申請書が受理されれば、法務局から隣地の所有者に筆界特定を実施することが通知され、その案件に対して筆界特定を行うことが法務局の掲示板に掲示される
3.筆界特定登記官と筆界調査委員が、対象となる土地を測量するなどして境界を特定する
4.筆界が特定されれば、筆界特定登記官が調査内容を「筆界特定書」としてまとめる
5.筆界特定書の写しが、筆界特定の申請者や隣地の所有者に通知される
以上が筆界特定が実施される流れであり、筆界特定は隣地の所有者がわからない場合も利用できます。
ただし、隣地の所有者がわからない状況において筆界特定を申請した場合は、流れの「2」の時点で隣地の所有者に対して筆界特定が実施されることは通知されません。
法務局の掲示板に、筆界特定を実施することが掲示されるのみです。
そして、筆界特定が完了すれば、調査結果は法務局に保存され、それ以降は誰もが調査結果を知ることができます。
筆界特定制度の開始は平成18年であり、それまでは境界に関するトラブルは「境界確定訴訟」などと呼ばれる裁判を以て解決するのが通例でした。
訴訟は高額な費用と解決するまでの長い日数を要しましたが、筆界特定は訴訟より費用が安く済み、境界が特定するまでの期間も比較的短いとされます。
筆界特定の申請数は、ここ数年毎年2,000件を超え、土地の境界に関するトラブルに悩まされる多くの方が利用しています。
しかし、筆界特定は、実は使えないといわれます。
筆界特定が使えないといわれる理由は、私が運営するサイト「誰でもわかる不動産売買」で公開するコンテンツ「筆界特定が使えない理由」にて詳しくご説明中です。
同コンテンツでは、筆界特定には実は法的拘束力がない、思ったより費用がかかる、取得時効により使えないなど、筆界特定が使えないといわれる3つの理由をご紹介しています。
土地の境界に関するトラブルに悩まされ、筆界特定の利用を検討される方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。