今回も先日ご相談にいらっしゃった女性の話。
前号でもそうでしたが、ここのところ頭皮を清潔にするだけでなく、シャンプーの泡を2分か3分頭皮に付け置くことを推奨しているシャンプーとシャンプー法が増えています。
特にサロン専売品のメーカーが、そう言ったシャンプーとシャンプー法を推奨しているようです。
これじゃ、毛が育たなくなり、毛が細くなり柔らくなり、ヘンなりした毛ばかりになってしまうよね。
【皮脂は汚れではありません】
シャンプーの広告・サイトを見ると、「皮脂汚れを取り除く」なんて言う表現を見ることがありませんか?
こんな広告を見ると、「皮脂って汚れなんだ。取らないと駄目なんだ。」って思う人が増えるでしょう。
私から見ると「え?なんで皮脂が汚れなの?皮脂がなけりゃ人は生きていけないじゃないか!こんな人騙しのような文をよく書けるよな?」なんて思ってしまうのですね。
皮脂は、人の体を乾燥しないように保湿し、内部から外に向かって分泌されることで細菌等の異物の侵入を防ぐ保護膜として働いているです。人の体を保護しているのです。また、皮脂は汗と混ざり、皮膚常在菌の働きにより皮膚表面を弱酸性に保ち、皮膚表面を健康に保っているのです。
こんな働きのある皮脂が、汚れであるはずがないでしょうに。
【毛穴は排せつ器官】
また、皮脂が毛穴から分泌されると同時に老廃物も排せつされるので、排せつ器官でもあります。だから、毛穴に詰まるこもありません。その為に、外部から何かを入れ込もうとすると、皮脂の分泌が邪魔になってなり、入れ込みたい成分が入っていかなくなります。
でも、それで良いのです。入れ込もうとする何かとは、人の体にとっては異物ですから、異物が体の中に入ると大変なことになります。
入れ込むなら、毛穴の内部や角質層の上の階層くらいまでで十分です。
それ以上入り込まない為にも皮脂の分泌が必要なのですね。
【皮脂を取り除きたい】
上記の通り、皮脂は体を保護していますから、何らかの成分を確実に入れ込みたい人達にとって、皮脂は目の上のたんこぶです。その為、綺麗に取り去る為に、シャンプーの泡を頭皮に付け置き、界面活性剤と皮脂を混ぜる時間を作るのです。
すると洗い流せば綺麗に皮脂は取れてしまい、ついでにシャンプーに含まれる有効成分と言われるものが入り込みやすくなるのですね。でも、ここには大きな落とし穴があります。
それは、界面活性剤と皮脂が混ざることです。
界面活性剤と皮脂が混ざると、当然毛穴の中や角質層の内部に界面活性剤が入り込みます。
最初は、有効成分が入り込むので、その働きの効果が出るようですが、同時に有効成分よりも浸透力が強い界面活性剤のマイナス面が出てきます。
それが、タンパク質変性作用であったり細胞への攻撃です。
頭皮が弱り血行が悪くなり、毛を育てる組織も弱りますから、中身の薄い髪しか作れなくなります。柔らかい腰のない毛質になってしまうのです。
同時に、成長期が短くなった毛が増えてくるので抜け毛が減ってきます。一度抜け毛が減る時期が続きますが、数か月~何年かすると、成長期が短くなった刺さっているだけの毛がたくさん残るようになるので、一気に抜ける時期がきます。抜け毛が急増して、その後に残った毛は細くて柔らかい毛ばかりが残るので、薄毛になってしまうのです。
こんな状態にしてしまっていた女性のご相談者でした。
この方は、元々は毛を育てる力が強い方で、体の内部に問題を抱えていないので、ご自身本来の頭皮に回復する為のケアに取り組んで頂くことになりました。
最初はちょっと時間がかかりますが、土台が出来上がれば強いだけに回復は早いだろう、と推察しています。