袋田病院ブログ

茨城県大子町にある精神科・直志会袋田病院のブログです。

袋田病院アートフェスタ2018・スタッフ・インタビュー vol.3

2018年07月24日 06時14分37秒 | アートフェスタ・2018
3回目に紹介するのは、ベテラン看護師の藤田勝浩さんです。
勝浩さんは訪問看護を一手に担い、病院と地域をつなぐアートフェスタ実行委員の常連さん!
自らの演奏で盛り上げ、毎年楽しく活気あるステージを作り出しています。


アトリエホロスにて自作のステンドグラスで制作したカモメを手にする勝浩さん。

以下、勝浩看護師:か / 榎:え

え:早速ですが、定番の質問から。勝浩さんは何年に入職ですか?

か:昭和53年の4月1日。
この日は土曜日で午前11時に早退させてもらい仮免許の試験にバイクで大田原へ行きました!病院が出来て2年目だね。
白衣の先輩たちがワゴン車で病院見学で迎えに学校に来られた時はビックリしました。
あれから40年か…。
就職難の時代だったし、高校の担任の先生と理事長(袋田病院創始者の粉川先生)が知り合いで、それで入ったようなもんだネ!
精神科ってどんなところか分からなかったし、当時は男性が病院で働くのが珍しかった。
働きながら、夜間の看護学校に行って看護師になってね。
全国で男性看護師が5.000人しか居なかった時代だよ。
振り返ったら、40年経過しちゃいました!

え:40年ですか…。40年続けられたコツというか魅力は何だったんですか?
か:患者さんは病名がつくけど、病気を持っていてもみんな同じだなぁと思えて。
自分にも同じ所があるなぁと思えた。
みんなそれぞれに個性豊かだしネ。
自分とは何か?人生とは何か?って模索して、自問自答してる。
ただ、患者さんは生きていくすべを知らないのかなぁ。孤独に思えた。

え:すべ(手段)ですか…。
か:入職時は、高卒で看護学生でもあったし随分患者さんに助けてもらって、育ててもらった。
え:私も感じています。私の仕事がスムーズに出来るよう、気配りがありサポートしてくれるんですよね。
か:患者さんの人生経験の話しや生い立ちを聞きながら、自分と照らし合わせ、自分の問題が掘り出されるんだよね。
同じ人間!ただ病気(障害)があるかないかなんじゃないかなぁ、対等だと思うよ!
入職時、当時の大森婦長(常務のお母さん)から、
「看護の基本は患者さんの話を聞くことです」
と教えられたから時間があるといつも話を聞いていた。

え:患者さんの話は、いつも私を成長させてくれる感じがするんです。
か:そうだね。でも、葛藤はある。毛も抜ける!
え:患者さんを通し、自分があぶり出される?
か:というか、いやな自分を引き出されてしまうネ。
そういう時、常務(粉川先生と共に歩まれた大森常務)の言葉を思い出すんだよ。
あるがまま。
自分のいいところをみてごらん。
悩んでいる時が、成長できるんだよ!粉川理事長からは常に、
「バカだなぁ」
と言われて来ました。
どうしたら、自己感情コントロールができるか?ってね。
そんな時は、おにぎり持って八溝山の山頂に行ってヒーリング。
特に、当直明けの日はよく行ったネ。
1日ぼーっとして、気持ちが静まったら帰っていたネ。

※八溝山は修験道の山で茨城県では最高峰。茨城県、福島県、栃木県にまたがる霊山。
え:本当に自然が癒してくれますよね。

か:そう、自然はいい。
研修で東京に少し暮らしたことがあったけど、都会は合わなかった。
東京に出て行った友だちはあか抜けちゃってうらやましいと思ったよ。
でも、田舎にいることを後悔しないように趣味をって音楽を始めたの。
どこかで負けたくないと思っていたよ。
地元に暮らしていても何か出来ることがあると思ってビックバンドに入り20年活動しました。
あと、世界の人達とつながれると思い、アマチュア無線を始めました。
病院に学校の先生をしたこともある先輩がいて、学校の先生を辞めてまで働くなんて不思議というか、すごく惹かれて、その先輩に追いつけ追い越せって感じで。
その先輩からジャズを教えてもらって、モダンジャズのレコードを買ったんだけどさっぱり分かんない(笑) 
1枚のLP版に溝が3本しか見えなかったり(笑)

え:まだ若い勝浩さんにジャズは大人の世界だった(笑)
か:ハハハ。新鮮な世界だったかな。
音楽の興味が増したかな。
若い時は、ロットの一番太いパーマをかけていたし、後ろ姿は女の人に間違えられたよ(笑)

え:えー、パーマ!
か:3時間かけて、パーマをかけるのがオシャレだったから。
え:すべてが若い(笑)
か:先輩にいろいろ教えてもらった。
え:勝浩さんのパフォーマンスの源と質の高さはここから脈々と来ているんですね。
アートフェスタでのステージで大切にしていることを教えて下さい。

か:アートとは何だろうって考えた時、何らかを表現すること、自分が自分らしくいられることの表現、私はこうだよって表現する、内側にあるものを出してみる、会話もおんなじだね。
自分が自分らしくあることの確認作業みたいな・・・私のこだわりの表現方法!?かな。



【インタビューを終えて】
私は毎年勝浩さんと患者さんが繰り広げるステージパフォーマンスを楽しみにしています。
患者さんのユニークな歌い方に、時にさり気なく、時にリードし、リズムを合せる姿が温かく優しいんです。
患者さんの頑張る姿に気持ちも熱くなってしまって。。。
ぜひ、今年のアートフェスタ、ステージをお楽しみに♪

インタビュアー:榎 尚子


―袋田病院Artfesta2018『精神科病院によるアート的社会実践』―


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