今年、MLBボルティモア・オリオールズの主砲クリス・デービス選手の62打席連続無安打が話題になりました。
デービス選手は2013年にアメリカン・リーグ最多となるホームラン53本、138打点をマークし、2015年にもリーグ最多のホームラン47本とともに同2位の117打点を挙げるなど、オリオールズで一気に長打力が開花し、リーグを代表する長距離バッターとして活躍して今知った。しかし、昨年はチームの低迷とともに自身も打率.168、ホームラン16本と不調に苦しみ、今季も開幕からその流れを引きずっていました。
そして、今年4月13日（日本時間14日）に、昨年9月14日（同15日）以来、実に63打席ぶりの安打を放ち、それまで続いていたMLBの野手ワースト記録となる連続無安打打席を「62」でストップさせました。
なお、日本プロ野球では、2501打席ホームラン0本のまま引退した、「3無冠王（私が勝手に命名）」の元･千葉ロッテマリーンズの岡田幸文さんが2016年から2018年まで、59打席無安打がNPB野手ワースト記録として残っています。ちなみに、あと1つの「無」は、2011年にパ･リーグ新記録となる「外野手のシーズン連続守備機会無失策359」です。
ちなみに、NPB記録としては、元･東映フライヤーズなどで活躍した、嵯峨健四郎（さが けんしろう）さんの90打席連続無安打です。
嵯峨さんは秋田･秋田商業高では、エースとして1954年秋季東北大会準決勝に進みましたが敗退。翌1955年も夏の甲子園県予選を勝ち抜き、奥羽大会に進みましたが一回戦で敗退しました。
高校卒業後は、社会人野球の日本鉱業日立に入団。1956年の都市対抗野球にエースとして出場、準々決勝に進みましたが敗退。1958年の都市対抗野球でも二回戦止まり、翌1959年の都市対抗野球でも二回戦で敗退しましたが、社会人屈指の好投手として注目され、1960年に東映フライヤーズへ入団します。
プロ入り後、1963年の7月から先発陣の一角として起用され、8月22日には阪急ブレーブスの足立光宏さんと投げ合い、初勝利を完封で飾りました。1964年には21勝を挙げ、土橋正幸さん、尾崎行雄さんと並んでフライヤーズの20勝投手として活躍しました。しかし、この年は打席でヒットが打てず、4月以降77打席連続無安打に終わりました。
翌、1965年は病気もあり、2勝しかできず、打撃も不振で、8月半ばまで13打席連続ノーヒット。前年から、トータル90打席連続無安打を記録してしまいました。これが1シーズン、連続シーズンいずれも連続打席無安打の日本記録となっています。しかし、同年8月19日の本拠地・後楽園球場での阪急ブレーブスとの試合で、足立さんから91打席ぶり（およそ1年5か月ぶり）の安打を記録し、不名誉な記録をストップさせました。なお、1966年は投打両面で復調し、17勝を記録し、10本の安打を打っています。
1968年に交換トレードで読売ジャイアンツへ移籍。シーズン序盤に1完封を含む2勝を挙げましたが、6月以降は失速し不本意な成績に終わり、僅か1年でジャイアンツを戦力外となり、翌年フライヤーズに復帰しましたが、この年を最後に引退しました。
なお、NPB2位で、セ･リーグ記録は現･福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督がジャイアンツ時代の2000年から2002年にかけて84打席連続無安打という記録を残しています。
現在、その記録に向かっているのが中日ドラゴンズの大野雄大選手です。最後の安打は2016年9月28日のジャイアンツ戦（やけにジャイアンツ絡み）。それからの連続無安打は3年越しの65打席（54打数33三振11犠打0四死球）まで伸びています。
先日、大野雄選手が今シーズン3度目の先発で7回途中まで1失点と好投し、2017年9月20日の東京ヤクルトスワローズ戦以来、573日ぶりの白星を挙げました。これから復活ロードだと思いますが、大野雄選手の無安打記録が伸びれば伸びるほど（？）、多くの勝ち星があげられると思います。
是非とも、NPB記録更新を期待しています。
