野球小僧

冥土の土産ないまま閻魔さんに会うのは・・・ / 宮内義彦(オリックス・バファローズ)

「冥土の土産ないまま閻魔さんに会うのは・・・」

プロ野球界の名物オーナーで知られるオリックス・バファローズ宮内義彦オーナー。

現在のオリックス株式会社創業メンバーの一人で、のちに同社の社長としてリース業界のトップ企業へと育て上げた経営者です。オリックスはリースをはじめ、不動産、銀行、クレジット、ベンチャーキャピタル、プロ野球球団、関西国際空港・大阪国際空港の運営など幅広く事業を展開する企業です。

1960年に商社の日綿實業に入社。3年後の1967年に新設のオリエント・リース株式会社への出向メンバーに選ばれ、米国直輸入のリース業を始めました。当時、リース業は米国で急成長していたビジネスで、日本では未知の分野。すべてが手探り状態の中、10数人が集まって新しい事業に着手します。メンバーの中では宮内さんが最年少でしたが、不安はなく、好奇心のほうが勝っていたそうです。

「業界の何位になろうとか、マーケットシェアを拡大しようとか、そういうことはまったく頭にありませんでした。ただ、どこにもないユニークな会社をつくりたかったんです」

1969年社長室長、1970年取締役、1980年代表取締役社長に就任。社長となった宮内さんは1980年代中ばころから信託銀行、保険、証券、消費者金融などの金融業にも進出して多角化を進め、1988年には阪急ブレーブスを買収してプロ野球にも進出しました。1989年には商号をオリエント・リース株式会社からオリックス株式会社に変更。

「企業の基本の部分である『財務内容』でより強い会社を目指しました。同時に、世の中から高く評価されるということも目標の一つでした。この二つは連動していて、世の中の評価が上がれば、財務内容はおのずと良くなるものだと思います。そして何より、社員が『この会社で働いてよかった』と思ってもらいたい。これらのことが一体になるのが良い会社だと思うんですよね。経営とは、取り組むべき課題に優先順位をつけるのではなく、すべてに目配りしながら動かしていかなくてはいけません。今日一番力を入れたことがあれば、明日はまた違うことに力を入れている。その時々でいろんな課題が出てきて、その都度、全力で取り組むことが大事なのだと思います」

宮内さんは、何か決断を迫られることがあって「二つに一つ」というような場合は、社内にある、ありとあらゆる知識と知恵を全部駆使して決めていたそうですが、決めた以上は絶対にブレない。「こっちにしておけば」ということは一切考えないようにしていたそうです。

宮内さんのもとでオリックスは急成長し、今では売上高2兆円を超える巨大グループとなっています。

2014年に取締役兼代表執行役会長・グループCEOを退任してシニア・チェアマンに就任し、経営の第一線から退いています。

「『今かな』と思えたタイミングだったんです。しんどいときに交代するのは、後の人のことを考えると良くない。楽なときなんてありませんが、特に大変なときは避けるべきです。しんどいときは自分の責任だと思っていますから。自分じゃないとできないものをつくり上げていくということが一番楽しいと思うんですよね。そういうことを若い人たちには伝えていきたいですね」

「『よく分からない会社』なんていわれると、『なるほど・・・そういう会社になってきたか』と思いますね。経済的な富を社会に提供することが企業の役割だと思っています。だから、常に社会から評価されるものをつくり上げていきたいですね。我々が『イノベーション』をつくり上げられるかどうかにかかっています。私は、『ビジョン』というものを持ったことは一度もないんです。今日に至るまでずっとです。とにかく心を込めて目の前の仕事に取り組むだけでした。やらないといけない仕事が常にあったというのはありがたいことですよね。それをずっと続けて、ここまでたどり着いたわけですから」

本業とは真逆にプロ野球団のオリックス・バファローズは、1995年、1996年の連覇のあと、チーム成績は下降し、2000年代は毎年のように監督が交代する低迷期でした。ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた宮内さん。

冒頭の言葉は2019年3月13日の激励パーティーでのあいさつです。

「私も相当、年になりました。冥土の土産がないままに閻魔(えんま)さんに会うのは非常にまずい。早いこと土産を作ってほしい。個人的に少し焦っている」

2021年、25年ぶり13度目のパシフィック・リーグ優勝を決め、日本シリーズ出場も決まりました。オリックス・ブレーブスが誕生したときは54歳。25年前の優勝のときでも61歳。その後の低迷期においても野球を愛する宮内さんは球団を手放さず、ずっとオーナーとして見守り続けてきただけに、まさに待ち望んだ万感のときだったと思います。

でも、閻魔さんは「まだ来るな」と、いっていると思いますが。

今日も、私のブログにお越しいただいてありがとうございます。

今日がみなさんにとって、穏やかで優しい一日になりますように。そして、今日みなさんが、ふと笑顔になる瞬間、笑顔で過ごせるときがありますように。

どうぞ、お元気お過ごしください。また、明日、ここで、お会いしましょう。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

阪急からオリックスへ譲渡されたとき、正直なところ「オリックスって何?」ということを思ったりしました。いまでは、オリックスという名前はあらゆるところで見聞きしますよね。

私の手土産は・・・ない。
eco坊主
おはようございます。

プロ野球界の名物オーナーかどうかよく知りませんがユニークな発言ですね。
私は何を手土産にしましょうかね~六文銭だけではダメですかね(笑)


まだまだ油断はせずに感染防止対策を続けます。
そしてできる協力は続けていきます。必ず笑顔は戻ると信じて。
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