米国でくしゃみをすると、1年後に日本で風邪をひく・・・ということではありませんが、MLBで導入されるルールは1年後に日本でも導入されます。
MLBが2019年シーズンからピッチクロックの導入を目指していると、複数の米メディアで伝えられています。
ピッチクロックとは、ピッチャーの投球間の時間を制限するルールです。聞いたことがあると思いますが、マイナーリーグでは2015年に「20秒ルール」として導入されていたものです。投球後、キャッチャーからボールを受け取ったピッチャーは、20秒以内に投球動作に入らなければならないのです。時間が分かるように、球場内には目立つカウントダウン計が置かれ、明らかに20秒以内に投げなかった場合には1ボールが宣告されます。
ちなみに、先日の「5.07b 準備投球 (b)〈8.03〉準備投球」はイニング開始時の準備投球のことですので、ややこしいですけど、お間違えないように。
さて、これにはMLB選手会の反発があり、特にピッチャーからは「やりにくい」という声が多く、これまで導入は見送られてきていたものです。
昨季両リーグで規定投球回に達したピッチャーで、最も投球間隔が短かったのは、マイク・フォルテネウィッツ選手(アトランタ・ブレーブス)で20秒5。この時点で20秒をオーバーしていますので、ボール1です。逆に最も長かったのはジャスティン・バーランダー選手(ヒューストン・アストロズ)で27秒0で、ボール1。
日本人選手では、大谷翔平選手(アナハイム・エンゼルス)が26秒7、ダルビッシュ有選手(シカゴ・カブス)が26秒5、田中将大選手(ニューヨーク・ヤンキース)と前田健太選手(ロサンゼルス・ドジャース)はそろって27秒0、平野佳寿選手(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は27秒9。最も遅いのが田澤純一選手(シンシナティ・レッドソックス)で30秒1と、そろってボール1。
逆に最も速い牧田和久選手(サンディエゴ・パドレス)は18秒9と、こちらはテンポの良さを誇っています。
ピッチャー側の反発としては、投球間隔が伸びるのにはバッターの責任が大きいというもの。バッターがタイムを取り、打席を外して素振りをし、狙い球を絞るのに時間がかかるというものです。確かにそうした場面はよく見られ、結果的に投球間隔が長くなってしまいっています。よって、申告敬遠や、コーチやキャッチャーがマウンドへ向かう回数を制限するルールなどと同じく、ピッチクロックは、試合時間短縮のために考案されたものなのです。
MLBの機構と選手会による新ルールの話し合いは、例年2月中に一つの合意に達します。MLB導入のルールは1年遅れでMLBからNPBへ輸入されるのが慣例ですので。
ピッチクロックの導入で、ピッチャー対バッターの間が時計に支配されてしまい、自分の間で動くことができず、ある意味、ピッチャー対バッターの駆け引きという魅力を削ぐことにもなりかねませんが、果たしてどうなることでしょうか。